Research Abstract |
【目的】砂丘農業地帯における地下水汚染が進行している可能性が高い.そこで,鳥取砂丘の地下水の水質の実態を詳細に明らかにするために,1993年8月から,福部地区14カ所,賀露地区10カ所を調査対象として水質分析を開始し,現在も継続している.本年度はさらに鳥取県中部の北条砂丘,西部の弓ヶ浜砂丘についても一部検討を開始した.カラムによる硝酸イオンの流出モデル実験も検討した. 【実験方法】 毎月1回採水し,水温,pH,EC,陽イオン(NH_4^+-N,Na^+,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>),陰イオン(NO_<3->-N,NO_2-N,Cl,SO_4^<2->),COD,pH4.8アルカリ度,懸濁物質等について測定,分析した. 【結果】 1)NO_3-Nの汚染が引き続き深刻であった.湯山地区では0.46〜13.6cmol(-)/L,賀露地区では0〜47.9cmol(-)/Lの範囲であった.これまでの水道水の水質基準,1999年2月22日に制定された環境庁の環境基準水道水の水質基準(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素・10cmol(-)/L以下)を大幅に上回る地点が多かった.とくに賀露地区の濃度は相当高く,地下水の汚染は確実に進行していることを示していた.濃度分布図から,その原因としては,砂丘農業における多量施肥と畜産(鶏舎)からの排水が予測された.現在のような農業・畜産の形態を続ける限り,地下水汚染は,近い将来さらに深刻な事態に進行することが予想された.今後は,汚染のより精密な実態調査と,地域環境を守る立場に立脚した砂丘地農業のあり方,さらに汚染された地下水の浄化,等々についての継続した研究の重要性とともに,新しい提案が緊急に必要である.
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