1997 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱性古細菌の2-オキソ酸:フェレドキシン酸化還元酵素の分子解剖
Project/Area Number |
09660074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若木 高善 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (70175058)
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Keywords | 古細菌 / 2-オキソ酸 / フェレドキシン / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
2-オキソ酸:フェレドキシン酸化還元酵素は古細菌の代謝の鍵酵素であり、単純な構造ながら、ピルビン酸脱水素酵素超複合体のような複雑な酵素と同じく、CoAに依存した2-オキソ酸の酸化的脱炭酸反応を触媒する。我々が単離・塩基配列決定を行った好酸好熱性細菌Sulfolobusの2-オキソ酸:フェレドキシン酸化還元酵素の、構造機能相関を調べる目的で、平成9年度は、以下に述べるように、遺伝子の発現系を確立した。 大腸菌を宿主とし、T7プロモーターをもつプラスミドに遺伝子を組み込んで発現ベクターとした。本酵素の二つのサブユニットα/βの遺伝子の間には26塩基の重複があるが、この配列のまま発現ベクターに組み込んだもの(ベクターAB)、サブユニットαの遺伝子を切り出して発現ベクターに組み込んだもの(ベクターA)、サブユニットβの遺伝子を切り出して発現ベクターに組み込んだもの(ベクターB)の三つを作成し、通常の方法で宿主に導入し培養中途で誘導をかけた。菌体粗抽出液のSDS-電気泳動により発現を調べた。いずれのベクターからも目的蛋白を著しく産生するものは得られなかった。そこで、宿主大腸菌に、groESLを組み込んだものを用いると、特にベクターA・ベクターBから、目的蛋白を著しく産生されることが分かった。しかし、これらの粗抽出蛋白を混合しても、酵素活性は再構成されなかった。さらに、培養や活性測定前の処理についての条件検討を行ったところ、酵素活性を再構成する事に成功した。今後は、再構成される酵素の性質を調べ、各種変異酵素の作成へと展開する予定である。
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[Publications] 木野博康: "好酸好熱性古細菌Sulfolobusの2-オキソ酸:フェレドキシン酸化還元酵素の構造・機能と遺伝子発現" 第70回日本分子生物学会大会要旨集. 3-501-P-502 (1997)
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[Publications] Kino,H.: "Reconstitution of archaeal 2-oxoacid:ferredoxin oxidoreductase from its subunits overproduced in Escherichia coli cells" Eur.J.Biochem.(発表予定). (1998)
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[Publications] 若木高善(分担): "古細菌の生物学" 古賀洋介・亀倉正博編、東京大学出版会(印刷中), (1998)