1998 Fiscal Year Annual Research Report
銅蛋白質が関与する亜硝酸還元系における電子伝達機構の解明
Project/Area Number |
09660075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (00208240)
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Keywords | 亜硝酸還元酵素 / 一酸化窒素還元酵素 / 電子伝達 / 銅タンパク質 / ヘムタンパク質 |
Research Abstract |
脱窒に関連する酵素タンパク質・遺伝子を明らかにし、その全貌を明らかにすることを計画した。この過程における電子伝達体としてチトクロームcが使われることが多いことから、ヘム染色に反応するタンパク質をAlcaligenes faecalis S-6より部分精製し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。その結果、脱窒における亜硝酸還元の次のステップである一酸化窒素還元を触媒する酵素一酸化窒素還元酵素(NOR)のスモールサブユニットNorCとの間でアミノ酸配列の高い相同性が見いだされた。予想されるオリゴヌクレオチドを合成し、それをプローブとしたサザンハイブリダイゼーションおよびコロニーハイブリダイゼーションを行い、同タンパク質をコードする遺伝子をクローン化した。クローン化した断片中には9つの読み取り枠が存在し、他の細菌で既にクローン化されている遺伝子との塩基配列および推定アミノ酸配列の相同性から、dnr(fnr),orf1,orf2,norO,norP,norC,norB,norQ,norDと呼ぶこととした。nirO、norC、およびnorQのすぐ上流に、FNRの認識配列であるTTGATxxxxATCAAと類似した配列が見い出された。FNR蛋白は、嫌気条件で働く蛋白の遺伝子の転写活性化因子であることから、これらの遺伝子が嫌気条件で効率よく発現するように、転写レベルで制御されていることが示唆されるとともに、これらが少なくとも3つの転写単位で構成されることが示唆された。次に、nor遺伝子の大腸菌での発現について、検討を行った。Pseudomonas stuzueriにおいては、norQ遺伝子がNORの活性化に必要であることが報告されていることから、norCBより下流のこの領域を用い、様々なconstructを構築して大腸菌JM105に導入し、lac promoterの制御のもとに発現を行った。 IPTG添加後、30度で15時間培養した後の各形質転換体の細胞膜画分のSDS-PAGEを行い、CBB染色、ヘム染色を行ったところ、CBB染色では顕著なNORの蓄積は認められないが、ヘムに対する染色では約17kDaおよび38kDaにNORを構成する2つのサブユニットであるNorCおよびNorB蛋白の生産が認められた。また、界面活性剤を用いて可溶化した膜画分のスペクトルを測定した結果、各形質転換体においてシトクロムbの生産が上昇していることが示唆されました。しかしながら、NOR活性を測定したところ、いずれの形質転換体においても顕著な活性は検出されなかったことから、何らかのNOR活性化機構の存在が示唆された。現在、norCB近傍に存在する遺伝子の役割について解析を行っている。
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Research Products
(1 results)