1997 Fiscal Year Annual Research Report
広域基質特異性を有する超好熱菌由来新規アミノ基転移酵素の酵素学的・蛋白工学的解析
Project/Area Number |
09660077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 哲夫 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20170334)
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Keywords | 超好熱菌 / Thermococcus profundus / アミノ基転移酵素 / クローニング |
Research Abstract |
超好熱菌Thermococcus profundusより広域基質特異性を有する新規アミノ基転移酵素(MsAT)を精製した。MsATはサブユニット分子量45000の二量体からなり、ピリドキサルリン酸酵素であった。本酵素の熱安定性は極めて高く、80℃での半減期は4時間であり、また80℃以上で最大活性を示した。至適pHは6-8で、70℃においてpH3-10の範囲で安定であった。MsATはAsp,ser,Asn,Gln,Arg,His,Pro以外のすべてのアミノ酸に対し反応性を有しており、特にAla,Met,Ile,Val,Leu,Phe,Trp等の疎水性アミノ酸に対し高い活性を示した。また、各アミノ酸に対応するケト酸に対しても同様の活性を示した。したがって、MsATは多様なアミノ酸の生合成、分解に深く関わっていると考えられる。 アミノ末端アミノ酸配列に基づく合成オリゴヌクレオチドをプローブとして本酵素遺伝子クローン化し、lacプロモーターを用いて本酵素の大腸菌での生産に成功した。しかしながら大腸菌における生産量は低く、大量生産のためには更なる検討が必要と考えられた。本酵素遺伝子の塩基配列を決定し、他のアミノ基転移酵素とアミノ酸配列の比較を行った。本酵素と高い相同性を有するアミノ基転移酵素は存在せず、アミノ酸配列上からも本酵素の新規性が確認された。進化系統樹上では、本酵素はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼや芳香族アミノトランスフェラーゼに近接して存在していた。超好熱菌は進化系統樹上現存最古の生物と考えられること、本酵素が広域基質特異性を示すことから、本酵素はこれらアミノトランスフェラーゼの祖先型酵素であることが示唆された。
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