1998 Fiscal Year Annual Research Report
生物界に広範に存在する補体系C3a/C5aアゴニストの意義に関する研究
Project/Area Number |
09660084
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉川 正明 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (50026572)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 康之 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (20273518)
|
Keywords | 補体 / C3a / C5a / ペプチド / 食品タンパク / カゼイン / アルブミン / Albutensin |
Research Abstract |
補体C3aは補体C3のN末端から派生する77残基のペプチドであり、炎症作用や平滑筋収縮作用することが知られている。我々は補体C3aレセプターを介して作用するC3aアゴニストペプチドをカゼインなど食品タンパク質のトリプシン消化物から単離してきた。このようなC3aアゴニストペプチドの多くはC末端に疎水性残基-X_1-Len-X_2-ArgというC3aと共通の配列を有している。しかしながら例外的に、上記条件を満たさないにもかかわらずC3a活性を示すペプチドや、上記条件を満たすにもかかわらずC3a活性を示さない場合があることも見出している。前者の例としてはウシ血清アルブミンから回腸収縮ペプチドとして単離したAlbutensin C(Arg-His-Pro-Glu-Tyr-Ala-Val-Ser-Val-Leu-Leu-Arg)がある。本ペプチドはC末端から5残基目がSerという親水性残基であるにも関わらずC3aレセプターを介して作用する。本ペプチドの活性発現に最小限必要な構造はC末端のオクタペプチドであるが、C末端から8番目の残基の疎水性が活性発現に必須であることがわかった。すなわちC3a活性の発現にはC末端ArgおよびC末端から3残基目のLeuに加えて、C末端から5または8残基目に疎水性残基が存在することが必要である。一方、Leu-Asn-Leu-Asn-ArgおよびLeu-Ser-Leu-Ser-Argは上記条件を満たすにもかかわらずC3a活性を示さないことから、上記条件は活性発現の必要条件ではあるが十分条件ではない。 補体C3a類似のペプチドとして補体C5から派生する補体C5aがある。ブタ血清アルブミンから派生するAlbutensin A(Ala-Phe-Lys-Ala-Trp-Leu-Ala-Arg)はC3aおよびC5aレセプターに対して親和性を示す。一方、ヒトラクトフェリンから派生するPhe-Lys-Asp-Cys-His-Leu-Ala-ArgはC5aレセプターに対して親和性を示す。これらよりC5aレセプターに対する親和性にはC末端から7残基目のLysが必須であることがわかった。
|
-
[Publications] 吉川正明: "神経ペプチドとしての補体C3aアゴニスト" 日本神経精神薬理学会誌. 18(1). 28-28 (1998)
-
[Publications] Yoshikawa,M.: "Effects of Tyr-MIF-1 on stress-induced analgesia and the blockade of development of morphine tolerance by stress." Jap.J.Pharmacol.79(2). 231-235 (1999)
-
[Publications] 吉川正明: "生活習慣病を防ぐ食品の開発-ペプチド生理工学" 学術の動向. 3(11). 27-29 (1998)
-
[Publications] Yoshikawa,M.: "Peptide Science-Present and Future" Kluwer Academic Press, 850 (1999)
-
[Publications] 吉川正明: "ミルクの先端機能" 弘学出版, 276 (1998)