1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
中森 茂 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00254243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 博史 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (50275088)
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Keywords | システイン / 含硫アミノ酸 / 大腸菌 / セリンアセチルトランスフェラーゼ / フィードバック阻害 |
Research Abstract |
大腸菌のシステイン(以下Cys)要求株の復帰変異株について以下の事実が知られている。a)この株は微量のCysを分泌する、b)この株のCysの生合成に関わる酵素、セリンアセチルトランスフェラーゼ(以下SAT)は親株のものに比べてCysによるフィードバック阻害が弱化している、c)この株のSAT蛋白質の256番目のMet残基がIle残基に置換されている。これらの事実から、Cysの生産には大腸菌のSATが重要な役割を果たしていると考え、以下のような実験を行なって調べたところ、初めて有意な量のCysの生産を示すことが出来た。すなわち、 1.変異型SAT遺伝子の合成とクローニング SATをコードする遺伝子を合成し、256番目のMet残基を他の19種のアミノ酸残基で置換し、また、256から273番目のC-末端の配列を決失させた変異型DNAをPCR法で合成し、これらをAmp耐性マーカーを持つプラスミド、pBluescriptI ISK+にクロニングし、次にこれらをCys要求株JM39に導入し、Amp^rとCys^+を指標として形質転換株を得た。 2.形質転換株のSAT活性とCys生産 これらの形質転換株は多くはCysによるフィードバック阻害が弱化したSATをもち、また、これらの株はグルコース3%等を含む培地で、30℃,72時間の培養で100-200mg/lのCys+シスチンを蓄積した。 3.Cys生産の改良の試み 宿主のJM39株はCysを分解する能力があることが分かったので、Cysを唯一のN源として生育できない変異株(JM39-8)をニトロソグアニジン処理によって誘導し、この株を宿主として、上の変異型プラスミドを導入して形質転換株を得た。これらの株ではCysの生産が向上することを示した。
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[Publications] 小林慎一郎ほか2名: "E.coliのフィードバック阻害解除型Serine Acetyltransferase遺伝子の導入とシステイン生産" 日本農芸化学会誌(大会講演要旨集). 71・増刊. 224 (1997)
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[Publications] 小林慎一郎ほか3名: "システイン分解欠損株への変異型セリンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子導入によるシステイン生産の向上と安定化" 日本生物工学会大会講演要旨集. 447 (1997)