2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660100
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
中森 茂 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00254243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 大 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (00301416)
高木 博史 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (50275088)
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Keywords | 含硫アミノ酸 / システイン / メチオニン / 大腸菌 / トリプトファナーゼ / システインデスルフヒドリラーゼ |
Research Abstract |
我々は、L-システイン(Cys)によるフィードバック阻害感受性が低下したセリンアセチルトランスフェラーゼ(SAT)遺伝子を導入した大腸菌で、Cysの過剰生産に初めて成功したが、同時に宿主菌のCys分解活性が生産性に影響を及ぼすことも見いだした。本年度は、Cys分解系を抑制する方法として、大腸菌およびコリネ型細菌のCys分解酵素を同定し、その遺伝子破壊株を用いてCysの生産を試みた。一般にCysは、システインデスルフヒドラーゼ(CD)によってピルビン酸、硫化水素、アンモニアへ分解される。そこで、大腸菌およびコリネ型細菌(Brevibacterium flavum)野生株の菌体破砕液から各種クロマトグラフィーによって、CD活性を示す酵素を精製した。基質特異性、反応後の生成物分析、アミノ末端や内部ペプチド配列などの結果から、CD酵素として、大腸菌ではtnaA産物のトリプトファナーゼ(TNase)とmetC産物のシスタチオニン-β-リアーゼを同定した。また、コリネ型細菌ではaecD遺伝子産物(シスタチオニン-β-リアーゼ)がCD活性酵素として同定できた。次に、大腸菌tnaA遺伝子およびコリネ型細菌aecD遺伝子を、相同組換えによって破壊した。各遺伝子の破壊は、ゲノミックPCRや蛋白質バンドの消失によって確認した。さらに、各CD遺伝子破壊株にフィードバック阻害非感受性型SAT遺伝子を導入し、グルコースを含む生産培地で培養したところ、いずれの破壊株も野生株よりCys生産量が約2〜3倍に増加した。これらの結果から、CD酵素の遺伝子破壊がCys生産に有効であることを実証した。
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