1998 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母における血小板活性化因子(PAF)の細胞増殖調節機能に関する研究
Project/Area Number |
09660104
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
中山 玲子 京都女子大学, 家政学部, 助教授 (60172483)
|
Keywords | Yeast / Saccharomyces cerevisiae / Platelet-activating factor (PAF) / Cell growth / Mating process |
Research Abstract |
出芽酵母におけるPAF(血小板活性化因子)の生理機能を細胞周期・分化の制御機構との関連より解明することを目的とし,以下の実験を行った。 1. 酵母細胞におけるPAFの産生と細胞内外の動態解析: 9年度は,細胞周期G1期や接合過程初期にPAFの産生が亢進すること,また,PAFは細胞表層に多く分布し,培地へも分泌されることを明らかにした。10年度は,(1)STE6遺伝子破壊株(a細胞)を作製し,α細胞との接合過程におけるPAFの産生と細胞内分布について検討を行った。その結果,破壊株を用いた接合反応系では,野生型株の系に比較して接合過程初期のPAF産生亢進が見られなかった。(2)Ste6pのPAF排出機構への関与について,a細胞の野生型株,及びSTE6破壊株を細胞周期G1期に同調培養し,エタノール分画抽出法により,PAFの細胞内分布を比較した。その結果,野生型株に比較して破壊株では細胞表層のPAF分布割合が低い傾向を示し,Ste6pはa接合因子の分泌のみならず,PAFの形質膜膜内移行にも関与していることが示唆された。 2. 外来性PAFを用いた増殖調節機構の解明: PAFによる細胞増殖抑制の無い変異株を数株取得し,PAF添加による細胞内cAMP濃度や細胞膜アデニル酸シクラーゼ活性,イノシトールリン脂質代謝(IP_3)等への影響を野生型株と比較検討した。その結果,PAFによる酵母細胞の増殖抑制機構はこれらの情報伝達系を介することが示唆された。 3. PAF感受性遺伝子のクローニング: PAF非感受性変異株に酵母ゲノムの遺伝子を組み込み,PAF感受性遺伝子のクローニングを行った。この結果,この遺伝子がコードするたんぱく質はPAFレセプターではなかったが,栄養源を認識しRas-cAMP伝達系にシグナルを伝達する分子であることが判明した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 中山 玲子: "出芽酵母の接合過程初期におけるPAF産生の亢進-STE6遺伝子破壊株による検討-" 日本農芸化学会誌. 72. 23- (1998)
-
[Publications] 尹 吉吉遠: "出芽酵母におけるグルコース受容体GPRIの機能解析" 日本農芸化学会誌. 72. 23- (1998)
-
[Publications] 中山 玲子: "出芽酵母の接合過程初期におけるPAFの産生-STE6遺伝子破壊株による検討-" ビタミン. 72. 162- (1998)
-
[Publications] 中山 玲子: "出芽酵母のSte6pはPAFの排出機構に関与している" 生化学. 70. 1062- (1998)
-
[Publications] 中山 玲子: "出芽酵母はなぜ血小板活性化因子を産生するのか?" バイオサイエンスとインダストリー. 56. 254-256 (1998)
-
[Publications] C.W.Yun: "Gpr1p,a putative G-protein coupled receptor,regulates glucose dependent cellular cAMP level in yeast Saccharomyces cerevisiae" Biochem.Biophys.Res.Commun.252. 29-33 (1998)