1998 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴ糖による植物のフェノール性アミド化合物誘導に関する研究
Project/Area Number |
09660116
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮川 恒 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10219735)
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Keywords | ジャガイモ / p-クマロイルオクトパミン / ラミナリン / エリシター / オクトパミン / チラミン / tyrosine decarboxylase / tyramine hydroxycinnamoyl CoA transferase |
Research Abstract |
β-1,3-オリゴ糖であるラミナリンはジャガイモ塊茎組織にエリシターとして作用しフェノール性アミド化合物N-p-coumaroyloctopamine(PCO)を顕著に蓄積させる。このエリシター作用機構の解明を目的として本年度は1)PCO生合成経路の推定,および2)PCO生合成関連酵素活性の測定,の2点について検討した。 まず1)に関して,tyrosineの重水素標識体をジャガイモ塊茎組織に与えエリシター処理を行ったところ,明確な取り込みが認められ,PCOのoctopamine部分はtyrosineに由来することが明らかとなった。ついで,PCOの生合成前駆体と推定されるtyramineとoctopamineのジャガイモ塊茎組織中の含量を測定した。ラミナリンの処理により,tyramine含量に顕著な増加がみられたのに対し,octopamine含量は変化しなかった。これらの結果から,PCOはtyramineがp-coumaroylCoAと縮合していったんp-coumaroyltyramineとなってから,酸化をうけて生合成されると推定した。次に2)に関して,PCO生合成に関与すると考えられるphenylalanine ammonialyase(PAL),4-hydroxycinnamic acid:CoA ligasc(4CL),tyraminehydroxycinnamoyl CoA transferase(THT),tyrosine decarboxylase(TDC)の活性を測定した。いずれの酵素活性も,実験試料調製の際の傷害に起因する若干の上昇を示したが,ラミナリン処理によりさらに上昇し,無処理区と比較してTHTと4CLで2倍程度,PALとTDCで3〜5倍程度まで増加した。また,THTのtyramineに対するKm値は68uMと比較的大きく,THT反応速度が上昇するためには比較的高いレベルの組織内tyramine濃度が要求されるものと考えられた。
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