1998 Fiscal Year Annual Research Report
食環境感受性バイオモジュレーターとして機能するトランスグルタミナーゼの解析
Project/Area Number |
09660138
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊倉 宏司 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00101246)
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / トランスグルタミナーゼ基質タンパク質 / トランスグルタミナーゼの制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞の多様な機能に深く関係すると考えられている、カルシウム依存性のタンパク質修飾酵素トランスグルタミナーゼ(TGase)の、生理機能や制御機構を分子レベルで理解し、食環境に起因するシグナル因子が本酵素の関与する生体制御とどのように関連しているかを解明することである。 1. 動物肝抽出液中のTGaseアミン受容体基質タンパク質の検索と同定-肝抽出液の内因性TGaseによるタンパク質へのビオチンカダベリン導入反応を行った。反応生成物をアビジンゲルによるアフィニテイークロマトグラフィーにかけ、TGaseの基質候補タンパク質を得た。N-末端部アミノ酸配列の解析と配列ホモロジー解析から、モノレモット肝抽出液ではθ型グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST-θ)が、ラット肝抽出液ではグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)がそれぞれ同定された。マウス、ラットおよびモルモットの肝抽出液からは、ベタイン-ホモシステインメチルトランスフェラーゼが基質として同定された。精製したヒト胎盤GSTやウサギ骨格筋GAPDHについても、TGaseによるアミン基質の導入が確認できた。GSTやGAPDHはTGaseによる分子間架橋反応の基質にはならなかった。これらの酵素タンパク質の機能が、TGaseによるアミン導入修飾で、どのように制御されるかを解析することが次の課題である。 2. 肝細胞TGaseのシグナル因子応答性-インスリンは、食環境への適応をもたらす代表的なシグナル因子である。まずヒト肝癌細胞株HepG2を用いて、TGaseのインスリン応答性を解析した。HepG2細胞のインスリン受容体をA型優位あるいはB型優位にしても、インスリン作用により細胞のTGase活姓は有意な変化をみせなかった。HepG2細胞のTGase活性はグルカゴン、インスリン様成長因子IおよびIIにも応答しなかった。
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