1997 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ発生にもとづく光環境の変化がブナ等の生理機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
09660160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水永 博巳 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20291552)
向井 譲 静岡大学, 農学部, 助教授 (80283349)
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Keywords | ブナ / 光強度 / 波長特性 / 光刺激 / 光合成誘導 |
Research Abstract |
ブナ林林床における光環境と構成樹木の生理的特性の関連性を以下のような項目に絞って研究した。(1)光の定量的な解析、(2)林内光波長特性、(3)光刺激による光合成誘導過程である。 苗場山ブナ天然林で発生した林冠Gapおよび樹冠層が保持されている林床(understory)に、15個の光量子センサーを設置した。1997年8月12日から22日まで10秒間隔で実施した。分光測色計を用いて、林床レベルの分光特性を調べた。 結果:(1)GaP(Ch1-5)の光強度の不連続はUnderstoryに比べ、非常に多い。Understoryでは、サンフレック時に1000μmolを超えるが、大半は80-100μmol程度のもので、20分-70分継続することがわかった。曇りの日の光強度の不連続はは、晴れの日の10%程度になり、かつ低いレベルで長時間継続することが多い。 (2)波長別光量子量は、クロロフィルa吸収域で8-10%、クロロフィルbで10-14%、カロチノイドは15-20%であった。光合成に利用される波長域の割合はgapが24%で、understoryが21%であった。朝と夕方に比べて昼が多かった。赤外域の割合はunderstoryで多く、朝と夕方に多くなる。 (3)100μmol/m^2/sの光量子量が林床植物に照射されると、短時間で光合成は飽和に達するなどの結果が得られ、光合成過程にとって重要であることが分かった。異なる光環境で生育した植物の反応特性は、樹種によって異なる。例えば100μmol/m^2/s照射すると光合成速度はギャップより林冠閉鎖下で生育する樹種の方が高い値を示す。その増加率はウリハダカエデ、エゾユズリハ、ブナの順に大きくなっていく。最大光合成量は逆にギャップのほうが3樹種とも高い値を示し、その増加率は、ブナ、エゾユズリハ、ウリハダカエデの順で大きくなった。
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