1998 Fiscal Year Annual Research Report
先孔クリアランスを持つ複数接合具で構成された木材接合部の有効耐力
Project/Area Number |
09660172
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平井 卓郎 北海道大学, 農学部, 教授 (20173205)
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Keywords | ドリフトピン / モーメント抵抗接合 / 初期ギャップ / せん断耐力 / 端縁距離 / 接合具間隔 / モンテカルロシュミレーション |
Research Abstract |
平成9年度は、2種類の先孔径(11、12mm)、2種類の径長比(6、12)、2種類のドリフトピン本数(4本、8本)を想定して、先孔クリアランスを持つモーメント抵抗型ドリフトピン接合部の破壊試験を行い、以下のような結果を得た。1.接合部回転中心は個々に異なり、また変形過程で移動することが観察された。2.径長比が大きい方が相対的に最大耐力が高かった。3.今回の実験では、ドリフトピン本数が少ない方が相対的に最大耐力が高かったが、これは主として接合具間隔の違いによると判断され、先孔クリアランス影響と接合具配置影響を個々に分離することが難しいことがわかった。平成10年度は、ドリフトピン1本あたりのせん断耐力試験を行った。加力方向は木材繊維に平行、垂直の2方向とし、後者については引張型、圧縮型2種類のせん断耐力試験法を採用した。実験結果を基に、初期ギャップをOとした変形耐力解析と、対角線上の2本のドリフトピンを一組とし、初期ギャップをランダムに与えたモンテカルロシミュレーションを行い、以下のような結果を得た。l.接合部の有効剛性は、モンテカルロシミュレーションによって適切に推定できること、より実用的には先孔クリアランスの半分を初期ギャップとする確定的解析法でもおおまかな評価は可能であることがわかった。2.モーメント抵抗型接合部では、端縁距離、接合具間隔と初期ギャップの影響が複合的に作用するため、最小端縁距離に対応する引張型せん断試験結果から最大耐力を予測すると、実際より過小評価となることがわかった。3.接合耐力に及ぼす端縁距離、接合具間隔の影響を捉えるため、引張型と圧縮型のせん断試験結果を恣意的に組み合わせた解析結果と実験結果を比較した結果、実際のせん断耐力は最小端縁距離を想定して測定されたせん断耐力と比べ、かなり高くなることがわかった。
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