1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野渕 正 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50026499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 稔 京都大学, 農学研究科, 教授 (60026599)
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Keywords | 年輪年代学 / 成長輪 / 年輪 / 形成層 / 刺針法 / 熱帯多雨林 / 熱帯季節林 |
Research Abstract |
熱帯樹木の多くは年輪構造を持たない。また成長輪構造を持つ場合もあるが、その境界は極めて不明瞭である。従って年輪を介して熱帯林の履歴を知ることは極めて難しい。そこで、マレーシアの熱帯多雨林とタイの熱帯季節林に生育する樹木について、形成層活動の季節的特徴、成長輪構造の詳細な構造及び刺針法によろ木部形成過程の時間的因子のマ-キングにより、成長輪・年輪構造の解明と木部形成の周期性に関する検討を行い、本年度は以下の結果を得た。1.Shorea accuminata,Shorea parvifolia(マレーシア)、Eucalyptus camaldulensis、Tetrameles nudiflora、Dipterocarpus alatus(タイ)について、形成層及びその近辺の構造、とくに細胞拡大帯について、通常光学顕微鏡及び偏光顕微鏡による観察をもとに、乾季・雨季など雨量因子とこれら構造との関係を調べた。その結果雨季においては形成層帯及び細胞拡大帯の細胞数が多く、また木部形成量とこれら細胞数は正の相関を持っていた。乾季のD.alatusやT.nudifloraにおいてはこれら細胞数は減少した。しかし乾季の後期においても形成層帯で垂層分裂や並層分裂が観察され、完全な休止期のパターンを示さなかった。これらの特徴が年輪・成長輪界の不明瞭さの原因と推定された。来年度においてはこれら形成層により形成された細胞の径と壁厚の比較から、成長輪・年輪構造との関係を整理する予定である。2.完成した木部における成長輪構造について、道管、木繊維及び柔細胞の特徴を多くの樹種を使って整理した。その結果、道管径の減少、木繊維壁厚の増加及び柔細胞の増加が共通した特徴と推定された。1.の結果とも合わせ、来年度に成長輪構造と木部形成の周期性との関係について調べ、年輪年代学の基礎を固めて行く予定である。
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