1998 Fiscal Year Annual Research Report
テルペンの特異な反応を利用してマツおよびスギ精油の生物活性を高める研究
Project/Area Number |
09660187
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大谷 慶人 高知大学, 農学部, 助教授 (30253339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 一彦 高知大学, 農学部, 教授 (50038254)
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Keywords | 樹木精油 / 殺蟻活性 / α-テルピネオール / ピネン / スルホン酸 / 陽イオン交換樹脂 / ゼオライト |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,今年度も樹木精油の殺蟻活性を向上させるために,モノテルペン類を用いて,比較的簡単な水和反応による活性成分であるテルピネオールの誘導を試みた。幾つかのスルホン酸による処理を検討した結果,p-フェノールスルホン酸での処理がα-テルピネオールの生成に適していることがわかった。各種テルペン類のスルホン酸処理を行なった結果,β-ピネンからは,生成物に対するα-テルピネオールの含有量は約83重量%に達した。スルホン酸処理では,硫酸処理よりα-テルピネオール生成量が著しく増加し,特にβ-ピネンから極めて高収率でα-テルピネオールが生成することが明らかとなった。更に,ゼオライトなどの固体酸あるいは陽イオン交換樹脂を用いた水和反応も試みた。既にゼオライトによる水和反応(100℃還流下,数十時間)では高収率のα-テルピネオールの生成が可能であると報告されているが,我々の実験では文献の結果を再現することはできなかった。それに対して,陽イオン交換樹脂を用いる方法では,温和な反応条件(60℃,10時間以内)にも拘わらず,良好なα-テルピネオール生成量が得られると同時に,反応物の抽出分離という煩雑な工程を経ずにα-テルピネオールの誘導が可能であった。以上の各反応物を用いてイエシロアリによる殺蟻試験を行なった。その結果,α-ピネンやβ-ピネンには全く活性はなかったが,いずれの水和反応処理生成物にも殺蟻活性が見られ,特にα-テルピネオール生成量の多いものほど活性は高かった。更に,スギ,ヒノキ,アカマツなどの樹木精油を用いて,上記の水和反応によるα-テルピネオールの生成を試みた。加水分解処理を行うことにより,元の精油よりかなり殺蟻活性は向上した。
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Research Products
(1 results)