1998 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮続流と移行域におけるカタクチイワシの再生産機構に関する研究
Project/Area Number |
09660195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40114350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 克己 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00012039)
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Keywords | カタクチイワシ / 産卵 / 仔稚魚 / 成長 / 黒潮続流 / 移行域 |
Research Abstract |
1. 産卵生態(1)沿岸域 1998年の5月から7月にかけて、月に1度相模湾において採集した。排卵後濾胞を持つ個体の割合から、5月および6月のサンプルの産卵頻度は、それぞれ0.17および0.20と推定された。(2)沖合域 1996年および1998年の5・6月に、それぞれ伊豆大島沖および黒潮・親潮移行域において採集した。産卵頻度は0.32〜0.37となり、沿岸域のそれよりも高い値を示した。相対バッチ産卵数は表面水温の高かった点で高い値を示した。これら相対バッチ産卵数および産卵頻度の結果は、沖合域に生息する本種が沿岸域に生息する本種よりも、一定期間内により多くの卵を産出できる産卵生態をとっていることを示唆している。 2. 遺伝的集団構造黒潮・親潮移行域を含む日本周辺7地点からの試料のmtDNA,D-loop領域の塩基配列を調べた。各サンプル集団のハプロタイプが複雑に入り混じり、サンプルごとに地理的にまとまったクラスターパターンを示さなかった。以上のことから、九州の北岸および西岸から、本州・北海道の太平洋岸の沿岸および沖合にかけて生息する本種には、明確に系群として分けられるような遺伝的差異は存在しないことが示唆された。 3. カタクチイワシ仔稚魚の消化管内容物を分析した。空胃率は30mm以下の仔魚ではきわめて高かったが35mmを超える稚魚になると急激に低下した。餌生物はカイアシ類が優占的であったが,体長の増加に伴って暖海外洋性のサフィリナ属カイアシ類や端脚類などの大型動物プランクトンが特徴的に出現した。さらに,55mmを超える大型稚魚の胃からカタクチイワシ仔魚が確認された。
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Research Products
(2 results)