1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヘドロブロックの溶出栄養塩が海藻の成長・生残へ及ぼす効果
Project/Area Number |
09660197
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
森永 勤 東京水産大学, 水産学部, 教授 (90088196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 久幸 東京水産大学, 水産学部, 助手 (40242325)
|
Keywords | 再生式海藻礁 / 海底堆積泥(ヘドロ) / 溶出栄養塩 / 褐藻類 |
Research Abstract |
海底堆積泥(以下ヘドロと呼称)を利用した再生式海藻礁が考案されている(陳・荒川・森永、1995)。この礁のブロックから溶出する栄養塩の量と、その栄養塩が褐藻アラメの成長・生残に及ぼす効果について調べた。 ヘドロにセメント、硬化剤および蒸留水を練り混ぜ、ヘドロブロックを作製した。セメントの含有率(へドロ重量比)は30,50,70,100%とした(H30,H50,H70,H100と呼称)。対照として砂を用い、セメント含有率30%としたモルタルブロック(M30)も作製した。これらのサンプルを濾過海水に一定期間浸して、ブロック浸漬液を作製し、溶出した栄養塩量をオートアナライザで計測した。 アラメ遊走子を着生(約46個/mm^2)させたスライドグラスを上記の浸漬液中に設置し、インキュベータ(水温20℃、照度7000lx)内で培養させ、アラメ配偶体の生長量と生残数を調べた。浸漬液は10日毎に新しい物と交換した。 結果は以下のようであった。 (1)各浸漬液の栄養塩量は日数の経過につれて増大し、約10日後飽和状態になった。 (2)NO_3-N,NO_2-Nの各溶出量はHl00のブロックで最大値23.2μg/lおよび8.0μg/l、また、NH_4-N,PO_4-Pの各量はH30で最大16.13μg/lおよび4.2μg/lをそれぞれ示した。すなわち、ブロックが脆いほどNH_4-N,PO_4-Pの溶出量が多い。 (3)成長量(配偶体の最大長)はどの浸漬液でも40日後まで指数関数的に増大した。最大はH30であり、H50,Hl00ではほとんど成長しない。 (4)生残率は経過時間(日)と共に直線的に低下した。その割合はモルタルで大きく、ヘドロブロックで小さい傾向である。
|