1998 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の初期発育過程における光情報伝達・処理機構の形成
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09660199
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大村 百合 名古屋大学, 農学部, 助手 (50023479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 俊也 名古屋大学, 農学部, 助教授 (40190459)
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Keywords | 仔稚魚 / 網膜 / 光受容細胞 / タウリン / 免疫細胞化学 / 網膜視蓋シナプス / 増強 / 電気生理学 |
Research Abstract |
本年度は、ウナギやヒラメの初期発育過程における変態・生態適応に伴う光受容細胞の分化機構を明らかにしていく一方、網膜に著しく高濃度に含有されることが知られる遊離アミノ酸「タウリン」の免疫細胞化学的局在の変化と、網膜光情報を脳へ伝達する網膜視蓋シナプスの可塑性に焦点を絞って研究を推進した。 明・暗順応下のシラスウナギ網膜におけるタウリンの免疫細胞化学的局在 タウリンは光受容細胞外節における優勢なosmolyteとみなされ、光刺激に対して桿体外節から放出されることが報告されている。通常明順応下で作製した標本では桿体外節にタウリンの免疫反応がほとんど認められないので、顕著な網膜運動反応がみられるキンギョや桿体細胞がよく発達しているシラスウナギを明・暗順応下においてタウリンの免疫細胞化学的局在の違いを調べた。明順応状態では桿体外節に免疫反応が認められず、暗順応状態では桿体外節の形質膜や核に強い反応がみられることが明らかにされ、光刺激によってタウリンが桿体外節から放出される可能性が組織学的にも支持された。 キンギョの網膜視蓋シナプスの可塑性に関する電気生理学的研究 通常、網膜神経節細胞の軸索は網膜上での位置関係を保存した状態で中脳視蓋へ投射し網膜視蓋シナプスを形成している。キンギョの網膜や視蓋は生涯にわたって成長し続け、神経節細胞の数も増加することが知られ、網膜視蓋シナプスは恒常的に作り替えられているものと考えられる。そこで、網膜視蓋シナプスの可塑性の特性を明らかにするために、若いキンギョの視蓋スライス標本を作製し、95% O_2-5% CO_2を流した灌流リンガー液中で電気刺激に対する視蓋ニューロンのシナプス応答を調べ、0.1Hzの刺激を30min加えると増強が生じ、0.017Hzの先行刺激を与えると増強の発現は妨げられること等が明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Omura,Y.: "Cone cells appear also in the retina of eel larvae." Fisheries Science. 63・6. 1952-1053 (1997)
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[Publications] Omura,Y.: "Immunocytochemical localization of taurine in the pineal organ and retina of an anadromous fish, Plecoglossus altivelis." Archives of Histology and Cytology. 60・2. 153-162 (1997)
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[Publications] Salem,M.A.: "Light and electron microscopic studies on the development of the inner ear and otolith of the ayu Plecoglossus altivelis." Fisheries Science. 64・2. 259-264 (1998)
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[Publications] Salem,M.A.: "Embryonic development of the inner ear and otolith of the rainbow trout Oncorhynchus mykiss." Archives of Histology and Cytology. 61・2. 179-187 (1998)
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[Publications] Ishikawa,Y.: "Long-term potentiation is blocked by prior activity in the goldfish retino-tectal synapses." Neuroscience Research Supplement. 21. 167 (1997)
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[Publications] Ishikawa,Y.: "Slow potentiation unmasked by a preceding pause in the goldfish retino-tectal synapse." Zoological Science Supplement. 14. 117 (1997)