1998 Fiscal Year Annual Research Report
サロマ湖湖水からの炭素・窒素の除去過程における低次生産生物の役割の研究
Project/Area Number |
09660209
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
服部 寛 北海道東海大学, 工学部, 教授 (60208543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 宏明 北海道区水産研究所, 海洋環境部, 技官
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Keywords | サロマ湖 / 基礎生産 / 微小動物食物網 / 希釈法 / カイアシ類摂餌 |
Research Abstract |
サロマ湖における1年間の基礎生産と環境との対応関係を明らかにし、サロマ湖の植物プランクトンによる有機物生産量を定量化する目的で、サロマ湖の観測点Stn.22において、^<13>C現場培養法による測定き加え、今年度は希釈法を用い基礎生産と微小生物の摂餌の現場実験も実施した。昨年度の6回に加え、98年5月から毎月1回現場実験を99年3月まで7回実施した。この実験の測定・分析項目は^<13>C法と希釈法による基礎生産実験、CHN、Pigments(Chl+Phaeo)による現存量調査の他、環境としての光、水温、塩分も自動計測を行っている。実験水深は1、3、6、10mの4層とし、2-3月の結氷期はアイスアルジーの基礎生産実験(^<13>C法と希釈法)も行っている。 湖面が結氷している期間のアイスアルジーの水中への放出・沈降過程をとらえるために、98年11月の観測時には、北水研所有の時系列式セジメントトラップを長期係留している。トラップの採集期間は99年1月28日から4月15日まで1週間毎連続して行うように設定し、来月の4月に回収予定である。 これまでの11回の実験(結氷期を含む)結果から、サロマ湖における植物プランクトン基礎生産は炭素量にして201,415mgCm^<-2>y^<-1>であり、約200gの炭素が植物プランクトンにより粒子化されていることが明らかとなった。また、基礎生産はこれまで春に多く冬に少ないといわれてきたが、サロマ湖では光が強くなる夏期に基礎生産は高くなるという特徴的な季節変化も明らかとなった。 今後は4月にセジメントトラップを回収し、アイスアルジー生産の沈降過程を明らかにすると同時に、^<13>C法と希釈法による基礎生産実験を継続し、約2年間の実験結果から基礎生産と環境の関係を統計的に明らかにし、サロマ湖における物質循環における低次生産生物の役割を明確にする予定である。
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