1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660210
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
大越 健嗣 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (60201969)
|
Keywords | 貝類 / 金属 / 顆粒 / 濃縮 |
Research Abstract |
水産生物でも体内に「石(顆粒)」が存在することが報告されている。しかし,これまでの報告は散発的で,顆粒の存在する種,組織内分布,構造,元素組成などについて知見が乏しく,顆粒の存在意義,役割について知られていない。そこで本研究は金属顆粒とは何か?を明らかにすることを目的に検討を行った。 (1)サンプルの採集と顆粒様物質の取り出し 北海道から沖縄まで各分類群にわたる100種類以上の貝類(水産重要種を含む)を採集した。最初に顆粒様物質の取り出し法の検討を行った。各試料は各組織に分け顆粒様物質の存在の有無を顕微鏡下で確認し、組織をホモジナイズや遠心分離、超音波洗浄することにより顆粒様物質だけを取り出すことができた。結果,調べた貝類の多くで顆粒の存在を確認し,貝類には顆粒が広く分布していることが確かめられた。 (2)顆粒様物質の元素分析(金属顆粒の特定) 元素の定量には誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)と同質量分析法(ICP-MS)を用いた。顆粒様物質1個など微小あるいは微量の試料については最新のシンクロトロン放射蛍光X線分析法(SRXRF)を用いた。数10種の顆粒について元素分析を行ったが、Fe,Mn,Znなどの元素を含むものが多かった。 (3)金属顆粒の形態・構造観察,分類 生物顕微鏡で金属顆粒の色,形などを観察するとともに走査型電子顕微鏡で顆粒の表面の微細形態を観察した。顆粒は腎臓や肝臓に存在するものが多く,大きさ,形態,色などが種によってさまざまであった。組織内に形や大きさなどが異なる複数の顆粒が存在する種もあった。巨大な顆粒も一部の種から発見され,たとえば,イワカワハゴロモガイの腎臓顆粒は黒色から茶褐色,大小さまざまで,数100ミクロンにもなる顆粒も認められた。 平成9年度の研究計画はすべて実行することができ新しい知見を得ることができた。
|