1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660214
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
杉田 治男 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50139052)
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Keywords | 腸内細菌 / 抗病因子 / 海産魚類 / プロテアーゼ / ノイラミニダーゼ / Vibrio属細菌 / 胆汁酸抵抗性 / 低pH抵抗性 |
Research Abstract |
1.海産魚類から分離した偏性嫌気性細菌が魚類腸管環境に適応しているか否かを検討する目的で、江ノ島付近で採取したマアジおよびアカカマスの腸管から常法によってClostridium属細菌6株およびグラム陽性球菌1株を分離し、生理学的性質を調べた。その結果、多くの菌株が0%海水では増殖を阻害され、最適温度が低温域(15℃付近)であった。またいずれの菌株も低pHおよび胆汁酸に抵抗性があることなどから、これらの細菌が海産魚類の腸管環境に適応していることが強く示唆された。 2.ヒラメ腸管常在菌のVibrio属細菌の重要な病原因子であるプロテアーゼ生産能を調べる目的で、稚仔魚から分離したVibrio属細菌780菌株のプロテアーゼ生産能を測定した。プロテアーゼ活性の最大値および最低値(平均)はそれぞれ孵化後109および67日目に観察された。1.00U/μg以上の高生産株は孵化後3、23および45日目に検出されたが、全体の62%は0.10U/μg以下の低生産株であった。また全Vibrio株の61および50%がPMSFおよびOPAに阻害されることから、多くの菌株がセリンプロテアーゼおよびメタロプロテアーゼを生産することが判明した。 3.微生物が腸管に定着するときの重要な因子であるノイラミニダーゼを海産魚類腸内細菌が生産するか否かを検討する目的で、海産魚類4種の腸管から分離した細菌836株のノイラミニダーゼ生産能を蛍光基質を用いて測定した。9%の分離菌株がノイラミニダーゼを生産し、とくに海産魚類の常在菌であるVibrio属細菌の10%が本酵素を生産したことなどから、ノイラミニダーゼが細菌の魚類腸管での定着に深く関わっている可能性が強く示唆された。
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[Publications] H. Sugita: "Physiological properties of obligate anaerobes isolated from coastal fish intestines"Suisanzoshoku. 47・3. 459-460 (1999)
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[Publications] M. Asfie: "The protease-producing ability of vibrios isolated from larvae and juveniles of Japanese flounder"Suisanzoshoku. 48・1(印刷中). (2000)
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[Publications] 杉田治男: "恒星社厚生閣"水産養殖とゼロエミッション. 140 (1999)