1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660216
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾島 孝男 北海道大学, 水産学部, 助教授 (30160865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 清義 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001620)
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Keywords | スケトウダラ / ミオシン / 多量体 / 凝集反応 / クロスリンク / タンパク質変性 / ゲル形成 / 練り製品 |
Research Abstract |
スケトウダラLMMのC端側1/3領域の加熱による不可逆的unfoldが、ミオシン尾部の疎水性発現の原因となっていることを昨年度までに明らかにしたが、最終年度である本年度は、ミオシン尾部C端側領域由来の25-kDa断片断片(上記LMMのC端側1/3領域に相当)を調製し、そのunfoldingと疎水性発現との関係を調べると共に、LMMがミオシン尾部と相互作用して共凝集を起こす可能性を検証した。 1.スケトウダラ・ミオシン尾部C端領域25kDa断片の調製と性質…40℃で加熱処理したスケトウダラ・ミオシンをαーキモトリプシンで消化することにより、LMMのC端領域由来の25-kDa断片を調製できることを明らかにした。この断片のαーヘリックス含量は約90%であったが、温度を50℃まで上昇させると10%以下に低下し、その転移温度は30〜35℃であることが分かった。この転移温度域で疎水性が最大となることなどから、ミオシンの尾部領域の疎水性発現にはLMMのC端25-kDa領域のunfoldingの寄与が大きいことが確認された。 2.スケトウダラ・ミオシンとスケトウダラLMMの共凝集反応…昨年までにスケトウダラLMMを単独で加熱しても凝集性を示さないが、ミオシンと共に加熱すると共凝集体を形成する可能性が示された。そこで、ミオシンに対してLMMを種々の重量比で混合し加熱処理したところ、LMMはミオシンに対して最大約1/3(LMM/ミオシン)の重量比で結合して共凝集することが分かった。また、ミオシンーLMM共凝集沈殿物を0.5MKClで懸濁・洗浄してもLMMは沈殿から除去されなかった。このことはミオシンとLMMの結合は比較的強いことを示している。一方、HMMとLMMとの間では共凝集体は形成されないことから、LMMはミオシンの尾部領域と相互作用して共凝集すると考えられた。 3.スケトウダラ・ミオシンの多量体形成機構…これまでの研究報告と本研究の研究成果を総合すると、ミオシンの多量体形成には頭部の凝集に加え尾部間の架橋形成が関与すると考えられた。尾部間の架橋形成の原因となる結合としては、従来推定されてきた疎水的相互作用の他に、さらに強い結合、例えば尾部の特異的構造であるcoiled-coil結合が異なるミオシンの分子間で形成されることなどが関与すると推定した。
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