1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
田中 宗彦 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80092592)
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Keywords | リン酸化修飾 / 水溶性タンパク質 / メイラード反応 / 熱安定性 / pH安定性 / グルコース-6ーリン酸 |
Research Abstract |
すり身工場をはじめとした水産加工現場からの廃水には食用としての利用が可能なタンパク質が多く含まれているが、ほとんど利用されることなく廃棄され、廃水処理の負荷を大きくする原因となっている。そこで、廃水から水溶性タンパク質を回収し、食品素材として利用する研究が進行しているものの、回収された水溶性タンパク質に優れた機能特性が欠如しているため、その利用が極端に制限されているのが現状である。本研究では、魚肉水溶性タンパク質の機能改変を、主としてグルコース-6ーリン酸(G6P)とのメイラード反応を利用するリン酸化修飾により行うことを目的としている。 試料としてはクロカジキ(Makaira mazara)の冷凍肉を解凍して使用した。水溶性タンパク質は5倍量の0.1Mトリス緩衝液(pH7.6)により抽出した。透析した抽出液にタンパク質乾重量の50%に相当するグルコース(G)、あるいは94%に相当するG6Pを混合溶解してから凍結乾燥により粉末試料を調製した。本試料の水分活性を0.65に調整後、60℃の恒温槽中で12時間まで加熱してメイラード反応を起こさせた。このように調製した水溶性タンパク質(WSP)、WSP+G、WSP+G6Pの3種類粉末について、褐色度、残留G及びG6P量、遠離アミノ基量、フルクトサミン量、結合リン量の測定と、SDS-PAGEを行って、メイラード反応の進行を追跡した。また、これら試料の各種pH溶液に対するタンパク質溶解度と100℃までの加熱によるタンパク質溶解度の変化を測定した。その結果、G及びG6Pの添加によりWSPのメイラード反応の進行が促進され、またWSP+G6Pの方が顕著であった。C6P修飾によりWSPのpH安定性がある程度向上した。また、G6Pによるリン酸修飾の結果、WSPの熱安定性はメイラード反応初期段階で顕著に改善され、いずれの温度でもほぼ100%の溶解性を示すことを明らかにした。
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