1998 Fiscal Year Annual Research Report
水産食品のCO_2ガス置換包装下におけるボツリヌス菌の挙動に関する研究
Project/Area Number |
09660224
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
木村 凡 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (50262340)
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Keywords | ガス置換包装 / 二酸化炭素 / ボツリヌスE型菌 / 胞子 / 発芽 / 静菌効果 / 低温管理 |
Research Abstract |
CO_2ガスを導入した水産物のガス置換包装を想定し、水産食品衛生において特に重要なボツリヌスE型菌危害予測のための基礎知見を得ることを目的した。本研究ではCO_2ガスによる胞子の発芽および栄養細胞の増殖に及ぼす影響について、in vitroアプローチにより個別に解析を行い、本菌の発育生理に及ぼすCO_2ガスの影響を検討した。本年度の具体的研究成果は以下のとうりである。 昨年度研究でボツリヌスE型菌の平板培地上でのコロニー出現率や発育度は30℃ではCO_2により促進されるが、実際の流通温度(10℃以下)では抑制されることを報告した。そこで本年度はボツリヌスE型菌増殖に及ぼすCO_2ガスと貯蔵温度の影響について、胞子の発芽後増殖を中心に、培地へのCO_2ガス溶解による影響を考慮し、詳細に検討した。Clostridium botulinum type E(Iwanai)の胞子調製液を平板プレート(変法GAM培地、ニッスイ)上に一定量接種した後、窒素ガスと炭酸ガスの種々の割合のガス置換包装を施し、0、5、10、15、30℃でそれぞれ所定期間培養した飼料について、クロストリジウム属測定培地(ニッスイ)でボツリヌス菌胞子の発芽、残存を経時的に調べた。 30、15、10℃では炭酸ガス包装によりボツリヌス菌の発芽後増殖が促進されることが確認されたが、低温下(5、0℃)では胞子数が接種時より減少し、接種した胞子が死滅している可能性が示唆さた。0℃、CO_240〜60%で最も高い死滅効果が得られた。低温とCO_2ガスの組み合わせにより、ボツリヌス胞子が死滅(発芽不能)するという報告はこれまでになく、今後、このメカニズムの解明が必要である。 以上の成果は平成9年度当初の計画をほぼ達成したと考えている。
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Research Products
(1 results)