1999 Fiscal Year Annual Research Report
水産食品のCO_2ガス置換包装下におけるボツリヌス菌の挙動に関する研究
Project/Area Number |
09660224
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
木村 凡 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (50262340)
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Keywords | ガス置換包装 / 二酸化炭素 / ボツリヌスE型菌 / 毒化 / 鮮魚切身 |
Research Abstract |
CO_2ガスを導入した水産物のガス置換包装を想定し,ボツリヌスE型菌危害予測のための基礎知見を得ることを目的した。本年度は,魚肉切り身に植菌したボツリヌスE型菌のCO_2ガス置換包装下での増殖ならびに毒力(マウスアッセイによる)を評価した。特に流通時における温度管理不備が生じた際の挙動を中心に詳細に検討した。本年度の具体的研究成果は以下の通りである。 マアジ切り身とハマチ切り身を試料とし,ボツリヌス菌の培養液または胞子調整液を接種し,接種区と非接種区のフィレーをガス置換包装を行った。含気包装,N_2包装(N_2:100%)、CO_240%包装(N_2:60%,CO_2:40%)でガスパックした切り身試料を30℃で0,2,4,6時間,10℃で0,1,3,7日間貯蔵した。さらに、温度不備管理を想定して10℃で1晩貯蔵してから、30℃に移して0,2,4,6時間貯蔵した。所定時間後、試料中の一般生菌数、ボツリヌス菌数、ならびにボツリヌス毒素(マウスアッセイによる)の測定を行い、両切り身、各種ガス包装下においてのボツリヌスリスク評価を総合的に行った。 その結果、ボツリヌス菌の胞子は、30℃、6時間ではほとんど発育が認められず、10℃、7日間で発芽し増殖した。毒素産生については30℃ではいずれの包装でもみられなかったが、10℃では7日目のN_2、含気包装のみ毒素が認められ、CO_2包装では認められなかった。しかし、10℃では3日目からすでに腐敗も進行しているから、ガス置換包装によるボツリヌス中毒の危険性は低いと推察された。 以上の成果は平成11年度当初の計画をほぼ達成したと考えている。
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Research Products
(1 results)