1998 Fiscal Year Annual Research Report
有機農産物・食品の基準・認証制度に関する実証的研究-日米比較を念頭に
Project/Area Number |
09660230
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯澤 理一郎 北海道大学, 農学部, 助教授 (60184339)
|
Keywords | 有機農産物 / 特別栽培農産物 / 基準・認証制度 / 認証団体 / 表示ガイドライン |
Research Abstract |
本研究の課題は、我が国の有機農産物・食品の基準・認証制度を、その先進国・アメリカとんも比較を念頭に置きながら、実証的に検討することにある。昨年度は、検討の基準とすべきアメリカの「オーガニック食品生産法」やコーデックス規格等に関する文献収集と分析を行った。 本年度は、その成果の上に立ち、都道府県・市町村及び有機農産物・食品の民間認証団体の基準・認証の仕組み、あるいは認証実績等に関する資料収集と聞き取り調査を行った。それらの分析から明らかになった点は、一つに、基準・認証制度を農水省の「有機農産物等の表示ガイドライン」公表前に発足させた団体と、公表後に発足させた団体とで基準・認証制度のあり方に相応の相違が認められることであり、二つに認証団体と当該農産物等が有機農産物等であることを現地調査等に基づいて確認する団体とが同一である例が太宗であることである。三つはいわゆる「有機農産物」よりも「特別栽培農産物」の認証に重点が置かれていることである。認証実績の中で「特別栽培農産物」の占める割合の圧倒的な団体がほとんどで、「有機農産物」の占める割合は極めて低い。昨年度指摘した罰則規定のなさは、こうしたことと関連していると考えられる。四つは、認証制度発足の主要な契機が当該都道府県産・民間団体構成農家産の農産物・食品の有利販売に置かれていることである。流通末端まで一般農産物と取り扱いを峻別すると言う発想が乏しいことは、それと関連しているものと推測される。 国の有機農産物の認証制度がいよいよ来年度にもスタートする状況にあり、各地方自治体・諸団体の制度見直しが求められてきている。実態の評価や見直し方向の提示は急を要する課題となっているのである。
|