1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松本 康夫 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 康成 岐阜大学, 農学部, 講師 (60262755)
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Keywords | 造成形態 / 耕作様式 / 排水形態 / 土壌侵食 / 洪積火山灰土 / 沈砂池 / 水質汚濁 |
Research Abstract |
わが国の傾斜畑地帯では,圃場の形態的な特性から栽培期に強い降雨があると貴重な土壌が流亡しやすく,渓流や水源河川を汚濁するような事態が起きている。本研究は,とくに造成畑からの土壌流亡に起因した渓流汚濁の実態を克明に追跡し,造成・耕作形態と渓流汚濁の関係を明らかにして生産性の高い圃場を将来にわたって維持できる圃場形態や保全管理様式を解明しようとするものである。岐阜県高鷲村上野高原において標準区画50a,勾配約3%の公幅段階工で造成された24圃場を対象に選定,土壌流亡の要因を重相関分析法によって解明するとともに降雨に伴う渓流の汚濁過程を自記濁度計によって追跡した。本調査は継続中であるが,当面の成果として,次のような新たな知見が得られた。 (1)畝勾配,排水溝の深さが大きくなるにつれて土壌流亡が激しく,大根植被,排水溝の草生化が進むにつれて抑制される。(2)土壌流亡は,降雨履歴(営農期間)が長くなると排水溝の草生化と相まって次第に減少する傾向を示し,排水溝の下流部では次第に勾配が大きくなるように形態変化している。(3)排水溝の形態が流亡を左右する最も大きな要因であり,土砂桝から2〜25m区間が保全管理の重点箇所である。(4)渓流汚濁は,沈砂池へ流入する直前では,5分間降雨量のピークから5〜10分遅れて急激に進み,1〜2時間で元の清澄な流水に回復する。(5)沈砂池においては,高濃度の濁水が発生する頻度は少なく濁度変化は緩慢であるが,10分間10mm以上の豪雨があると高濃度の濁水が発生することがある。(6)沈砂池の渓流汚濁防止効果は,10分間10mm以上の豪雨時には,あまり期待できない。これ以下の通常の降雨下では,土砂を滞留させる効果がきわめて大きい。
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