閉鎖性養殖水域におけるDO濃度の低下予測モデルに関する実験的研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09660260
• Research Institution: Ehime University
• Principal Investigator: 戒能 治 愛媛大学, 農学部, 講師 (30112254)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大橋 行三 愛媛大学, 農学部, 教授 (10036296)
• Keywords: 魚類養殖水域 / 底泥の酸化 / 海水の貧酸素化 / DO濃度予測 / 底層流速 / 酸化還元電位 / BOD / COD

Research Abstract

養殖水域で頻繁に起きる堆積有機物に起因する貧酸素化現象について、以下の試験を行い、DO濃度の予測モデルを作成するとともに、密閉循環実験を行い、その結果と計算結果を比較してその妥当性を調べた。
1) H9年度に引き続き、底質の採取とその酸素消費試験を行い、データの追加を行った。2) また、その結果から、DO濃度と底質の消費速度の関係を求め、ORPと総酸素消費量および消費速度の関係を求めた。
3) 酸素消費速度をDO濃度が7mg/1の値で基準化し、上記の試験結果を補正することで、初期COD成分の分離を行い、ORPと初期CODの関係および、ORPとBOD成分の酸素消費速度の関係を求め、それぞれの関係を式で表した。4) また、上記の結果を発展させ、任意のDO条件下における酸素消費速度を、消費速度率とDO濃度の関係として表し、任意のDO濃度における酸素消費速度の計算を可能とした。
5) また、水温を変えて行った実験結果から、20℃の値で基準化し、水温と酸素消費速度率の関係として求め、式で表し、底質のORPから任意の温度における酸素消費速度を求めることを可能とした。
6) 以上の結果に、昨年までに求めた、流速と酸素消費速度の関係式、および底質の関係する深さ、およびその寄与率、堆積状態における酸素消費速度率と流速の関係を加え,底質のORP,pH,水温,低層流速の条件を与えて、堆積状態の底質による酸素消費量およびDO濃度の変化を計算予測するモデル(ORPモデル)を作成し、別に行った室内実験の結果と比較した。
その結果、底泥上の低層流速が3cm/sec程度以下では、DO濃度の時間変化の予測計算がほぼ可能であることを示した。

Research Products

• [Publications] 戒能治ほか: "浅海底質汚染の軽減除去に関する研究(7)-DO濃度の低下が溶存酸素濃度に与える影響について-" 農業土木学会大会講演要旨集. 平成10年版. 290-291 (1998)
• [Publications] 大橋行三・戒能治ほか: "自然河川における浄化作用とその環境要因について" 農業土木学会中国四国支部講演要旨集. 第53回. 114-116 (1998)
• [Publications] 大橋行三ほか: "海底構造物による湧昇流と拡散現象に関する数値実験" 農業土木学会中国四国支部講演要旨集. 第53回. 111-113 (1998)