1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660266
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
青木 辰司 東日本国際大学, 経済学部・国際経済学科, 助教授 (50141073)
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Keywords | 景観評価 / 景観事業 / グリーン・ツーリズム / パートナーシップ / グラウンドワーク |
Research Abstract |
今年度の研究においては、景観事業に取り組んでいる各市町村におけるヒヤリング及び、担当者の聞き取り等を通して、農村地域における景観評価の現状についての調査を行った。 人間と自然との相互的作用関係の表象としての景観は、主体・人間の客体・自然への認知・作用行為の有り様に規定され、その実態は、人間の生業・生活様式よいう歴史的・文化的要因に規定される。 調査事例においては、農村地域という地域特性もあって、自然景観、農業生産景観、農村集落景観、歴史的建造物景観、公共施設景観といった多様な構成要素を有し、各々が社会・経済的要因による開発行為によって変容を余儀なくされている。 しかし、90年代後半のグリーン・ツーリズムへの関心の高まりや、美しい村づくり運動が背景となって、日本の原風景としての農村景観が、社会的な再評価を獲得しつつあることも事実である。 このような転換期における農村景観の中枢的課題は、社会的・行政的必要性と住民の生活様式の都市化の下での景観認識との乖離状況の克服にあるといえる。 その意味では、住民の景観評価の実態を踏まえながらも、専門家集団の影響力が重要と考えられ、継続的な専門家集団の関わりの有り様が問われている。特に私的所有権と公共性のせめぎ合いの中から、新たな共生空間をどのように創造するか、住民、行政、民間企業、そして専門家集団の関係性が課題として析出されている。
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