1998 Fiscal Year Annual Research Report
すべり弾性表面波センサを用いた液状食品の識別システムの開発
Project/Area Number |
09660275
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田中 俊一郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (80041664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 史彦 鹿児島大学, 農学部, 助手 (30284912)
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Keywords | すべり弾性表面波センサ / 液状食品 / 溶液 / エタノール / 濃度 / 導電率 / 比誘電率 |
Research Abstract |
1. 研究目的および装置 1)本研究の目的は、すべり弾性表面波センサを試作して、液状飲食物の識別法、ならびに溶液の濃度測定法を確立し、液状食品の製造工程管理用センサとしての可能性を考究することにある。 2)実験装置は、シグナルジェネレータ、ベクトルボルトメータ、すべり弾性表面波センサおよび情報処理装置から構成する。ベクトルボルトメータによって信号の位相差と振幅比を実測し、速度変化と減衰変化を経て、最終的に試料の導電率と比誘電率を演算できるようにした。 2. 研究成果 1)焼酎の製造工程における醪を念頭に置き、成分溶液について、試料の濃度と導電率または比誘電率との関係を実験的に求めた。 2)グルコースとエタノールのそれぞれ1成分溶液は非電解質であるため、濃度と導電率の間には相関がなく、比誘電率とは逆比例の相関があった。3)クエン酸の1成分溶液は弱電解質であるため、導電率は濃度とともに増加し、比誘電率は減少した。 4)以上から濃度、導電率および比誘電率に関する多変量解析を行った結果、本法によって高精度で濃度の測定は可能であることが分かった。 5)エタノールとクエン酸またはグルコースとクエン酸の混合溶液は、相乗効果のため、濃度測定は困難であり、今後改良を要する。 6)グルコース、エタノールおよびクエン酸を混合した醪モデル中のエタノール濃度は、真値に対して0.99の高相関で測定できた。実際の醪中のエタノール濃度に対しては0.88の相関係数が得られ、焼酎の製造工程管理用センサの可能性が示された。
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