1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660279
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石田 朋靖 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (00159740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 敏英 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (10012006)
|
Keywords | 熱帯 / 泥炭 / 砂丘 / 土壌改良 |
Research Abstract |
本研究は、タイ国南部に残された砂丘浜堤の劣悪な土壌環境を、隣接する地域の熱帯泥炭、山土を混入による物理・化学性の改良で、作物生産が可能となるかどうか検討するものである。手法としては、対象が遠隔地であるため、室内実験とシミュレーションによる評価を行った。 物理性:砂丘砂の飽和透水性は0.018cm/sと大きな値を持つが、泥炭や山土の混入により低下し、泥炭混入10%(体積率)になると3オーダー以上低下してしまい、通気・排水性の両面から4ないし6%程度の混入が妥当と考えられた。また、保水性は泥炭や山土の混入により改善されるが、過剰な混入は逆に有効水分を低下させてしまい、結果として、砂:泥炭:山土が体積比で84:6:10の時に最も有効水分が増加していることが解った。 水分環境のシミュレーション:ここで求めた土壌の物理性、および現地の気象データーと作物データーを用いて、SPACモデルにより改良による水分環境の変化を調べた。この結果、砂100%では潅漑なしで作物生育が困難であるが、砂:泥炭:山土=84:6:10では1月から4月の強い乾季の1時期を除けば降雨のみでも作物生育が可能となることが予想された。また、降雨のうちで無効損失が43%であったものが、27%にまで減少する結果となった。 養分溶脱の検討:溶脱実験によるBreak-through curveと水分環境のシミュレーション 結果から改良土における養分の溶脱を推定したところ、改良前では年間下方浸透量の30%程度で肥料分が完全に溶脱するのに対し、改良土では、年間の全下方浸透量に対しても肥料分の20%程度が溶脱を免れると予想された。 以上の結果、熱帯泥炭の混入は砂丘地の土壌改良に有効であり、潅漑を行わなくとも作物生産が期待でき、また、肥料分の溶脱も抑制できることが予想された。
|