Research Abstract |
食肉の熟成中に,CaイオンによってZ線の無定形物質が分解されたり,タンパク質はプロテアーゼによって分解される。ペプチドは更に小さなペプチド,アミノ酸にまで分解され,風味が改善され,食味も向上する。本実験では,と畜後2日目のホルスタイン種のもも肉(半腱様筋:M.Semitendinosus)を用い,試料を一般的な保存形態である肉塊(ブロック肉)試料と,30mMクエン酸リン酸緩衝液でホモジナイズしたホモジネート肉試料,更に筋原線維を取り除いた筋漿画分保存資料の3つを調製した。これらを低温(4℃)で貯蔵(28日間)した時,ペプチドおよび遊離アミノ酸がどのように変化するかについて検討した。 ペプチド量に関しては,ホモジネート肉保存の2%TCA可溶性画分が7日目から急増し,14日目にブロック肉保存がそれに続き,筋漿画分保存は穏やかな一定の増加であった。ホモジネート肉と筋漿画分の違いは筋原線維タンパク質の存在の有無であり,このことは筋原線維タンパク質の方がプロテアーゼに対して感受性の高いことが推察された。 Superdex peptide HR10/30カラムを用いた低分子ペプチドの分析によって,ピークはRK-16,18,30,32,35,37,41,43および49の10ヶが観察された。RT-18はほとんどの試料で増加した。RT-35,37はすべての試料で減少し,2%TCA 可溶性画分,加熱可溶性画分のいずれにおいてもホモジネート肉保存における減少が大きかった。ブロック肉保存において,RT-55のピークは熟成中に出現しなかった。 熟成による総遊離アミノ酸量は,加熱,TCAのどちらの処理においても増加の傾向は類似していた。また加熱可溶性画分のG1n量は2%TCA可溶性画分のものに比べ多く,いずれもG1uを上回っていた。
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