1997 Fiscal Year Annual Research Report
プロバイオティクスによる腸管リンパ組織のサイトカイン誘導と腸管免疫賦活機序の解析
Project/Area Number |
09660285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 春樹 東北大学, 農学部, 助手 (10204885)
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Keywords | プロバイオティクス / L.acidophilusグループ乳酸菌 / L.gasseri / DNA / リンパ球 / 幼若化活性 / 免疫賦活化 / CD69 |
Research Abstract |
1.目的 近年,食品が潜在的に有する生体調節機能を解明し,人間の健康維持および増進に寄与する食品を開発することで,疾病の予防に食品の機能性を応用しようと考えられるようになった。本研究は,プロバイオティク乳酸菌として有望視されているアシドフィラス菌の免疫賦活化作用を解明し,その機能性因子を解析することを目的としている.今年度は,腸管リンパ組織のサイトカイン産生におけるアシドフィラス菌の作用を解明するための基礎として,アシドフィラス菌が有するリンパ球活性化因子の分離・同定を行った. 2.方法 L.acidophilusグループ乳酸菌16菌株由来核酸成分のC57BL/6由来各種免疫細胞の活性化をリンパ球の幼若化指標として検討した.活性化リンパ球の誘導はCD69をマーカーとして,FACScaliber^<TM>により解析した.また,リンパ球の分離・精製は磁気細胞分離システム(MACS)を用いた.活性を示した核酸成分より活性を有するDNAクローンほ単離し,活性化因子をクローニング後その塩基配列を決定した.配列間のホモロジーを解析し,ホモロジーの高かった配列を,化学合成し,幼若化活性を測定した. 3.結果 L.acidophilusグループ乳酸菌由来DNAは,16菌株中12で脾臓細胞に対し,有意な幼若化活性が認められた.中でも,L.gasseri1131^T由来DNA(DNA1131)のSau3AI消化で最も高い活性が認められた.活性を示すDNAのクローニングを行ったところ,180コロニー中46コロニーのDNAクローンでS.I.値が2以上の有意な活性が認められた.その活性はBリンパ球に対して特異的であり,CD69の誘導の増強が認められた.活性を示したDNAクローンの塩基配列を決定し,配列間で相同性を検索した結果,8塩基の新規なDNAモチーフ(AT5ACと命名)に高い相同性が認められた.化学合成AT5ACは,脾臓由来Bリンパ球に対して有意な幼若化活性を示した.FACSによる解析の結果,AT5ACはBリンパ球またはマクロファージに特異的に結合する事が判明した.次年度は,L.acidophilusグループ乳酸菌由来DNAの腸管リンパ組織の活性化について詳細に検討し,プロバイオティック乳酸菌としての位置づけをしたいと考えいている.
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