1998 Fiscal Year Annual Research Report
内因性筋肉成分による食肉のヘム色素安定化とその機能
Project/Area Number |
09660292
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
坂田 亮一 麻布大学, 獣医学部, 教授 (10153892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 致治 麻布大学, 獣医学部, 名誉教授 (30038202)
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 講師 (70257294)
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Keywords | 食肉製品 / ヘム色素 / 変色 / 色調保持 / 発色 / カルノシン / 亜硝酸塩 / 脂質酸化 |
Research Abstract |
骨格筋中に存在するジペプチドのカルノシン(β-アラニル-L-ヒスチジン)が、ビタミンEと同様に生体内において抗酸化剤として働き、貯蔵中の豚肉においては脂質酸化や色調変化を抑え、他の抗酸化剤よりも効果的に働くことが報告されている。本研究では、食肉の色調とヘム色素の安定保持に及ぼすカルノシンの効果を調べ、また加熱塩漬肉の色調への影響および色素保持効果について検討した。と畜後24時間の豚腿部挽肉に食塩を2%添加し、これにカルノシンを0.5〜1.0%添加した試料を調製し好気的条件下で1週間、2〜3℃で保存した。その結果、カルノシン無添加の試料と比べ、添加試料では赤色度が増加し、カルノシンは食塩添加によるヘム色素の減少を抑制した。カルノシン添加によりミオグロビンのメト化率およびTBAR値は共に低くなり、貯蔵中の脂質酸化は抑制された。この系に、亜硝酸ナトリウムを100ppm添加し嫌気的条件下(真空包装)で1週間塩漬し加熱した結果、無添加試料と比べ0.5%カルノシン添加試料で発色率が高くなった。加熱塩漬肉試料では、カルノシン添加量が多いほどpH値が上昇し、クッキングロスが減少した。そのpH値を無添加区と同じになるように塩酸で調整し加熱したところ、カルノシンを添加した区で発色率が高く、残存亜硝酸塩量の低下が認められた。ミオグロビンのモデル溶液での実験結果から、未加熱系ではpH5.5およびpH7.5のどちらの系にも色調に変化が見られなかったが、亜硝酸塩を加えて加熱するとミオグロビンは赤色化するなどの特有の現象が観察された。
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Research Products
(2 results)