1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660306
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Research Institution | College of Bioresource Sciences, Nihon University |
Principal Investigator |
泉水 直人 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (10060120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山室 裕 日本大学, 生物資源科学部, 専任講師 (10255119)
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Keywords | エストロジェン / 泌乳 / 乳腺 / アポトーシス / プロラクチン細胞 / 成長ホルモン細胞 / 哺育行動 |
Research Abstract |
エストロジェン(E)による泌乳阻害の機構についてマウス(結果1〜3)及びラット(結果4)を用いて追究した。結果は以下の通り。 1.E投与による乳腺微細構造への影響について電子顕微鏡を用いて観察した。泌乳6日から5日間、E5μgを投与した結果、乳腺上皮細胞において、核の崩壊、小胞体の縮小、ミトコンドリアの肥大化及び上皮細胞間結合の分離が認められた。筋上皮細胞の細胞膜も崩壊し、筋繊維の分離が起こった。 2.E投与によって起こる乳腺退行がアポトーシスによるものか否かをアガロースゲル電気泳動法及びTUNEL法を用いて調べた。E投与後4〜5日で両方法によりアポトーシスの指標であるDNAの断片化が認められた。しかしながら、投与10日後では、この指標は認められなくなった。 3.E投与後の乳腺組織においてアポトーシス関連タンパク質とされるc-myc及びp53の発現を免疫組織化学法によって調べた。上記の結果と同様にc-mycの発現はE投与後4〜5日の乳腺上で観察されたが、投与後10日では観察されなくなった。これらの乳腺をHE染色した後、光学顕微鏡で観察すると、E投与後5日の乳腺は乳腺胞数の減少、腺胞中のミルクの減少、脂肪組織の浸潤が観察されるが、腺胞構造は維持されていた。一方、投与後10日の乳腺胞構造は、完全に崩壊した。このことから、Eによる乳腺退行の1部分はアポトーシスによると考えられること、及びアポトーシスによる退行の発現は1時期であることが判明した。 4.母親へ投与されたEは、乳汁を介して乳子に移行して泌乳阻害を起こすと言われている。そのため、Eによる乳子下垂体の成長ホルモン及びプロラクチン細胞の分化と増殖について下垂体細胞を培養し、免疫細胞化学法により調べた。その結果、Eはプロラクチン細胞の増殖を促進したが、成長ホルモン細胞増殖に影響を及ぼさなかった。
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[Publications] Yutaka Yamamuro: "Developmental Profile of Prolactin Cells in the Anterior Pituitary of Postnatal Rats during the Laetational Stage" Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine. Vol.220. 94-99 (1999)
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[Publications] Osamu Kai: "Effects of Litler Size on Gestation Length and Plasma Progesterone Concentration in Mongolian Gerbils" Animal Science Journal. Vol.70(1). 18-23 (1999)