1997 Fiscal Year Annual Research Report
悪性線維性組織球腫(MFH)の組織発生の解明、特に間葉系細胞の分化様式との係わり
Project/Area Number |
09660324
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桑村 充 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20244668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河南 有希子 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80264810)
|
Keywords | 悪性線維性組織球腫 / 間葉系始祖細胞 / 多分化能 / ラット実験モデル / モノクローナル抗体 / 間葉系細胞分化様式 |
Research Abstract |
悪性線維性組織球腫(MFH)の組織発生及び起源細胞については未だ明らかにされていない。MFHの組織発生を解明する目的で、F344ラットに自然発生したMFHから同系ラットにおける移植腫瘍を確立し、さらにin vitroで継代可能なクローン細胞を誘導し、それらの細胞特性を多角的に解析するとともに、間葉系細胞の分化様式を解明するために、ラット由来の種々の間葉系腫瘍から移植腫瘍と培養細胞を確立し、MFH細胞の細胞性格と比較した。得られた成績を記載する。 1。MFH細胞は、未分化間葉系細胞に起源があり、リポポリサッカライドあるいは高脂血条件下において、組織球の特性を増強することが分かった。さらにMFH細胞は抗癌剤の処理により、種々の間葉系細胞に分化する能力を示した。これは、MFHには高分化型の間葉系細胞に分化する始祖細胞が存在することを示唆する。この成績は、以前報告されたヒトのMFHには多分化能を有する未分化間葉系細胞が存在するとする説を裏付ける研究結果であった。 2。MFH以外の間葉系腫瘍から移植腫瘍の確立と培養細胞の誘導を試みた。その結果、組織球性肉腫、悪性髄膜腫、線維肉腫の確立に成功した。これらの細胞特性とMFH細胞との細胞生物学的特性を比較したところ、MFH細胞の特性は明らかに異なることが分かった。MFHは独立した腫瘍であることを示す。 3。MFH細胞に特異的な2種のモノクローナル抗体(A3、B9)の作成に成功した。ラット胎児の発生段階におけるこの抗体陽性細胞の分布を検討したところ、A3抗体は臓器間あるいは臓器間質の未分化細胞を、一方B9はマクロファージ系細胞を認識していた。この染色結果は、MFHの組織発生に興味深い知見を提供した。 4。今後は、(1)ラットMFH由来クローン細胞が、種々の細胞分化因子(サイトカインなど)の存在下でどの様な細胞に分化するのかをin vitro及びin vivoの実験系で解析する。(2)A3、B9のモノクローナル抗体の染色特性をさらに詳細に検討し、MFH細胞の起源を同定する.(3)また、確立した線維肉腫、組織球性肉腫、及び悪性髄膜腫とこのモノクローナル抗体に対する染色性を比較検討し、MFH細胞と高分化型の腫瘍との関連をさらに追求することにより、間葉系細胞の分化様式を決定する。
|
-
[Publications] Yamate J,et al.: "Morphological characteristics of a transplantable histiocytic sarcoma (HS-J) in F344 rats and appearance of renal tubular hyaline droplets in HS-J-bearing rats" Journal of Comparative Pathology. 116. 73-86 (1997)
-
[Publications] Yamate J,et al.: "Phenotypic changes in lipopolysaccharide-treated cloned cells derived from transplantable rat malignant fibrous histiocytoma" Journal of Veterinary Medical Science. 58. 1017-1020 (1996)
-
[Publications] Yamate J,et al.: "Phenotypic modulation in cisplatin-resistant cloned cells derived from tansplantable rat malignant fibrous histiocytoma" Pathology International. 46. 557-567 (1996)
-
[Publications] Yamate J,et al.: "Heterogeneity in the origin and immunophenotypes of "histiocytic" cells in transplantable rat malignant fibrous histiocytoma" Journal of Veterinary Medical Science. 58. 603-609 (1996)
-
[Publications] Tsujino K,et al.: "Establishment and characterization of cell lines derived from a transplantable rat malignant meningioma : morphological heterogeneity and production of nerve growth factor" Acta Neuropathologica. 93. 461-470 (1997)
-
[Publications] Yamate J,et al.: "Characteristics of a rat fibrosarcoma-derived transplantable tumour line (SS) and cultured cell lines (SS-P and SS-A3-1) showing myofibroblastic and histiocytic phenotypes" Virchows Archives. 431. 431-440 (1997)