1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660329
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
谷口 和美 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (00171843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御船 弘治 久留米大学, 動物実験センター, 講師 (70174117)
汾陽 光盛 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00153007)
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Keywords | アネキシン5 / Aタイプ(心房性)ナトリウム利尿ペプチド / エンドセリン / 初代培養 / オートクリン / パラクリン / 心筋細胞 / 非心筋細胞 |
Research Abstract |
心臓は全身に血液を送り出すポンプであるのみならず、Aタイプ(心房性)ナトリウム利尿ペプチド(ANP)等を産生する内分泌器官でもある。また心臓の機能は一酸化窒素やエンドセリン等により局所性に調節されている。アネキシン5はカルシウム依存性にリン脂質に結合する蛋白質のひとつで、心臓においては心筋細胞と非心筋細胞の両者に局在するが、その機能や他の因子との関係については未だ解明されていない。そこで本研究は初代培養心房筋細胞を用いて以下の実験を行った。まず培養細胞を以下の2群に分けた;(第1群)培養2日目に組み換えアネキシン5(rAx5)を0.001〜1μg/ml投与し、投与後0〜48時間後に培養上澄中に分泌されたANPの量をラジオイムノアッセイにより定量した。(第2群)rAx5投与前にAra-Cもしくは抗エンドセリン抗体を添加した。Ara-Cは非心筋細胞の増殖を抑制するため、抗エンドセリン抗体はエンドセリンの効果をうちけすために添加した。結果、1.AraC非添加群に、rAx5を投与した群では、培養上澄中のANPの量は容量依存性に増加した。しかし抗アネキシン抗体を添加すると、この増加は見られなかった。よってrAx5は何らかの機序でANPの分泌の促進したものと考えられた。2.AraC添加群ではrAx5投与によるANPの分泌増加は見られなかった。この結果、アネキシン5は、心筋細胞に直接作用するのではなく、非心筋細胞を介して作用することが示唆された。3.さらにAraC非添加群に抗エンドセリン抗体を添加した群においても、ANPの分泌増加は見られなかった。このことから、アネキシン5の作用はエンドセリンを介する系であろうことが考察された。以上より、アネキシン5は心筋細胞もしくは非心筋細胞から分泌されてオートリンあるいはパラクリン作用により、心房筋細胞に作用し、心臓の局所性調節に関与している可能性が示された。
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