1997 Fiscal Year Annual Research Report
獣医臨床の診断精度向上に必要な血清・尿中酵素の評価研究
Project/Area Number |
09660335
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 準 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (20142705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝口 満喜 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (70261336)
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Keywords | アルカリフォスファターゼ(ALP) / コルチコステロイド誘発性ALP / 肝臓 / ステロイド肝症 / アデノシンデアミナーゼ(ADA) / 炎症性細胞浸潤 / イヌ / ウシ |
Research Abstract |
獣医臨床における自動分析機器使用を前提とした生化学検査の再評価には、本年度は血清アルカリフォスファターゼ(ALP)アイソザイムとアデノシンデアミナーゼ(ADA)の検討を行い、別紙の通り研究発表および研究論文の投稿に至った。またグアニンデアミナーゼ、5'-ヌクレオチダーゼ、酸性フォスファターゼなどの酵素について、家畜の生理的変動、体内分布や臨床的意義などのデータを集積中である。 犬の血清ALPアイソザイム分画をレバミゾール不活化法によりコルチコステロイド誘発性(CALP)、レクチン沈殿法により骨性(BALP)を求め、肝性(LALP)を計算で求めて、自動分析機器によるALPアイソザイム分画定量法を確立した。ステロイドを長期投与した犬におけるLALPとCALPの変動と、肝臓の組織病理学的変化との関係を検討した結果、肝細胞の空胞変性が軽度の場合はLALP、重度の場合にはLALPとCALPの活性上昇が関与していることが明らかとなった。 牛の血清ADAの性差、乳期別変動と正常値を検討した。また牛白血病発症牛の血清ADA活性を測定した。さらに肉眼的肝臓病変を認めた乳牛の肝臓片と血清とを採取し、肝組織所見とADA値との関連性について検討した。メス乳牛および去勢牛では血清ADA活性はそれぞれ5.4±2.6IU/lと有意差はなく、ヒトやイヌに比較して低値であった。泌乳中期でやや高値となり、泌乳初期や乾乳期との間で有意差を認め、ヒトと同様妊娠に伴う変動が牛でも観察され細胞性免疫の関与が示唆された。牛白血病発症牛の血清ADA値は5.1〜120.1IU/lと高値を示し、牛白血病抗体の有無とは無関係であり、白血病の病勢診断に応用できることが示唆された。さらに肝組織学的所見を炎症性細胞浸潤の程度で分類し血清ADA活性値を比較したところ、炎症性細胞浸潤の程度が重度である個体ほど血清ADA活性も高い活性を示した。ADAには特有の病態変動が観察され、肝臓病変の質的な診断意義が示唆された。
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[Publications] M.SYAKALIMA: "Separation and quantification of corticosteroid-induced,bone and liver alkaline phoaphatase isoenzymes in canine serum" J.Vet.Med.A. 44. 603-610 (1997)
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[Publications] M.SYAKALIMA: "Comparison of attenuation and liver-kidney contrast of liver ultrasonographs with histology and biochemistry in dogs with ecperimentaly induced steroid hapatopathy" Vet.Quart. 20. 18-22 (1998)