1997 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物の芽生えの環境適応と、その進化的役割に関する研究
Project/Area Number |
09660350
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 武明 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教務職員 (60089802)
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Keywords | 小麦 / 第1節間 / 深播き / エチレン / 分離パターン / 遺伝力 |
Research Abstract |
これまで暗黒下で小麦の幼苗の第一節間の伸長生育が深播きとエチレンによって促進されること、さらに、この第一節間の伸長促進現象は栽培品種間で異なり遺伝的に制御されていることを示してきた。そこで小麦の深播きとエチレンに反応する第一節間伸長の遺伝性をF_2S集団の分離パターンにより解析した。その結果、供試した二組み合わせともに深播き条件下でのF_2の第一節間伸長の分離をみると、伸長性の大きい紅芒麦側にシフトした分離を示したが、エチレンによる第一節間の伸長では、反応性の小さい側にシフトした分離を示した。この原因に関しては明らかでないが、深播き条件下での第一節間伸長には土壌中の複雑な機構が関与しているのに対し、エチレン処理は気中で行われたことに関係している可能性、及びエチレンと深播きによる伸長促進のメカニズムが異なる遺伝的支配下にある可能性が考えられる。しかし、エチレンに対する反応性では、両親よりも著しく高い反応性を示すF_2S固体の分離も認められることから、この点に関しては今後より詳細に検討する予定である。また、深播きした時の第一節間長と子葉鞘長の間には有意な相関が認められた。このことは今後、子葉鞘の長い品種を選抜することにより第一節間の長い品種が選抜される可能性を示唆している。さらに、深播き性とエチレン反応性の広義の遺伝力(Heritability)は著しく高い値を示し、これらの性質を利用した耐性品種の選抜が可能であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)