1997 Fiscal Year Annual Research Report
光による矮性形質発現機構の分子生物学的研究(矮性エンドウに於ける光による遺伝子の発現制御)
Project/Area Number |
09660353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
加藤 尚 香川大学, 農学部, 助教授 (50222196)
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Keywords | 矮性遺伝子 / 光生長抑制 / 矮性エンドウ / トランスジェニック / ディファレンシャル・ディスプレイ / RT-PCR / mRNA / 分子生物学 |
Research Abstract |
矮性エンドウ(品種Progress No.9)は,暗黒中では普通エンドウ(品種Alaska)とほぼ同様に生長するが,光が照射されると著しい生長抑制が起こり,その時始めて矮性化する.そこで,本研究の目的は,この矮性遺伝子を明らかにすること,更にこの遺伝子を他の蔓性の作物に組み込み矮性化させ,栽培中に支柱が不必要で機械化が容易で且つ生産効率の高いトランスジェニック作物を育成することである. 研究実施計画の初年度の目標は,ごく最近確立されたディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて,この矮性遺伝子を明かにすることである.この矮性エンドウの矮性発現は,光照射開始後6-8時間で起こることから,まず,照射開始後1時間毎に24時間後まで経時的に芽生えをサンプリングした.光により矮性形質が発現しない普通エンドウにも同様の操作を行った.また,対照として完全暗所に両品種を置き同様にサンプリングした.次に,それぞれのサンプルから,total-RNAを抽出し,このtotal-RNAよりmRNAを分離した.そして,それぞれのmRNAを鋳型とし,逆転写反応を行いcDNAを合成した.更に,得られたそれぞれのcDNAを鋳型とし,ランダムな配列をもつ12merのプライマーを40種類設計し,PCR反応を行った.これらのPCR産物をゲル電気泳動にかけ,光照射したものと暗所で育てたそれぞれの矮性種と普通種の四者で泳動パターンを比較した.その結果,光照射により特異的に発現が誘導されている矮性種のPCR産物を得ることができた.特異的なPCR産物は,特異的なmRNAを反映しており,従って特異的な遺伝子を反映している可能性がある考えられる. 次年度は,これらの遺伝子をクローニングすると共にノーザンプロットで特異性を確かめ,光による矮性発現に関与している遺伝子の塩基配列を明らかにする予定である.
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