1998 Fiscal Year Annual Research Report
光による矮性形質発現機構の分子生物学的研究(矮性エンドウに於ける光による遺伝子の発現制御)
Project/Area Number |
09660353
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Research Institution | KAGAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加藤 尚 香川大学, 農学部, 助教授 (50222196)
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Keywords | 矮性遺伝子 / 光生長抑制 / 矮性エンドウ / トランスジェニック / ディファレンシャル・ディスプレイ / RT-PCR / mRNA / 分子生物学 |
Research Abstract |
矮性エンドウ(Pisum sativum L.cv.Progress NO.9)は,他の蔓性のエンドウとは異なり,矮性形質のゆえ栽培中に支柱が不必要で機械化が容易であり生産性も高く,米国等で広く栽培されている.ところで,この矮性エンドウは,暗黒中では蔓性のエンドウ(cv.Alaska)とほぼ同様に成長するが,光が照射されると著しい成長抑制が起こり,始めて矮性形質が発現する.そこで,本研究の研究期間内の研究実施計画では,ディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて,この矮性形質遺伝子を見つけ出し,クローニングし,塩基配列を決定することにあった. 研究期間内に申請者は,ディファレンシャル・ディスプレイ法を使って,矮性エンドウに於いて光照射により特異的に発現誘導される遺伝子,あるいは発現が抑制されると考えられる遺伝子を20個発見した.これらの中で,7つの遺伝子がクローニングされ塩基配列が決定された.これらの遺伝子の構造・機能をデータベースにより解析した結果,いずれも新規の遺伝子であった.この内2つの遺伝子は,ノーザンブロット法によって光照射により特異的に発現することが確認され,光による矮性発現に関与している遺伝子である可能性が高いと考えられる.他の5つについては,発現量が少なくノーザンブロット法では,これらの遺伝子の発現特異性は確認されなかった.そこで,今後,RT-PCR法により,これらの遺伝子の光による発現特性を解明したい.また,矮性エンドウで光照射により特異的に発現すると考えられる残り13個の遺伝子もすべて,クローニングし,塩基配列を決定し,これらの遺伝子の構造・機能を明らかにしたいと考えている.将来的には,矮性発現に関与している遺伝子を他の蔓性の作物に組み込み矮性化させ,栽培中に支柱が不必要で機械化が容易で且つ生産効率の高いトランスジェニック作物を育成したいと考えている.
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