1997 Fiscal Year Annual Research Report
ナス科植物のジャガイモYウイルス(PVY)抵抗性遺伝子の単離
Project/Area Number |
09660355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 税 北海道大学, 農学部, 助教授 (60281854)
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Keywords | PVY / ウイルス抵抗性 / タバコ / 細胞間移行 |
Research Abstract |
結果・成果 1.PVY感受性タバコ(BY-4)と抵抗性VAMを用いてPVYの接種試験を行った。PVYはえそを誘導するPVY-T系統に属するものと主にモザイク症状を誘導するPVY-O系統に属する分離株を使用した。VAMはPVY-Oに対してはほぼ完璧な抵抗性を示し、接種葉でわずかにウイルスが検出されるのみであった。PVY-Tに対しては感染の初期段階でえそ症状を観察したが、接種葉及び上葉ともにウイルス濃度は対照(BY-4)に較べ、低いということが判明した。病徴も感染後期にはほとんど判別できなくなった。O系統に属するいくつかの分離株の接種を繰り返しているうちにVAMの抵抗性を打破できるミュータントを獲得した。T系統に属するものからはそのようなミュータントは出現しなかった。 2.tissue print法及びpress blot法によってVAMに感染したPVY-Tの分布を追跡した結果、ウイルスは接種葉の感染点から周囲の組織に移行しづらく、しかも師部を通って上葉に長距離移動した後の師部からの拡大が著しく遅れることが判明した。すなわち、VAMでは、PVYの細胞間移行が阻害されており、維管束を通って上葉に移動する長距離移動は阻害されていなかった。 3.VAMの抵抗性のメカニズムがPVYの複製能力に及ぼす影響を調べるために、プロトプラストに接種して、ELISA法によってウイルス濃度を測定した結果、30%程度の複製阻害が認められた。したがって、VAMの抵抗性のメカニズムはウイルスの細胞間移行の阻害の他にウイルスの複製が阻害される結果でもあると考えられる。 4.VAMへの経代接種によって出現した抵抗性打破ミュータントのうち、PVY-0-36Bを選択し、全塩基配列を決定して、導入された変異を解析した結果、VPg領域で見いだされた変異が抵抗性打破に深く関与していることが予想された。
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