1999 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜と横隔膜のリンパ管とリンパ管小孔の個体発生と系統発生
Project/Area Number |
09670005
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大谷 修 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (90127548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 瑞錫 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20303240)
大谷 裕子 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (10313595)
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Keywords | 横隔膜 / 胸膜 / リンパ管 / リンパ管小孔 / 個体発生 / 系統発生 / 微細構造 / リンパ管新生 |
Research Abstract |
本研究は横隔膜と胸膜の中皮下リンパ管とリンパ管小孔の個体発生と系統発生およびその機構を解明することを目的としている.前年度までの研究で,(1)横隔膜のリンパ管に吸収される腹水の量が排導リンパ管の能力を超えるとき,腹水が胸水に移行し得すること,および腹水の量に比例してリンパ管小孔が拡大すること,(2)ラット横隔膜におけるリンパ管とリンパ管小孔の発生過程の形態学的変化,(3)カエルの胸腹膜腔と脊髄下リンパ洞のあいだの膜にあるリンパ管小孔の微細構造,(4)肋骨胸膜においても横隔膜と同様にリンパ管小孔が発生することなどを明らかにした. 本年度に得られた成果は,(1)腹腔内に投与したDiI標識アセチルLDLは横隔膜のリンパ管内皮細胞に取り込まれ,共焦点レーザー顕微鏡下にリンパ管を容易に観察でき,横隔膜リンパ管の研究に非常に有用であること,(2)胎生期および生後1週間頃までのラット横隔膜には,DiI標識アセチルLDLを取り込んだ管腔を形成していないリンパ管内皮様細胞が遊走していること,(3)この内皮様細胞は,5'ヌクレオチダーゼに対する酵素組織化学で染色され,VEGFのレセプターであるF1t4を発現していることなどが明らかとなったことである.現在,この内皮様細胞がリンパ管内皮細胞またはその前駆細胞であるか否かを検討中である.今後,このリンパ管内皮様細胞が内皮細胞またはその前駆細胞であるならば,どのようにしてリンパ管を形成するかを研究する予定である.
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