1997 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体隆起部より分泌されるホルモンの同定とその機能の解明
Project/Area Number |
09670027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
亀田 芙子 北里大学, 医学部, 教授 (10032898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 正明 北里大学, 医学部, 助手 (60276053)
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Keywords | 下垂体隆起部 / ニワトリ / 隆起部細胞 / 黄体化ホルモン / クロモグラニン / 松果体 / 日照リズム |
Research Abstract |
下垂体隆起部は系統発生的に全ての動物に存在するため、不可欠の器官であり重要な働きをしていると考えられる。しかし隆起部細胞が何を分泌し、どのような機能を有しているのか分かっていない。哺乳動物で隆起部細胞は色素嫌性細胞と呼ばれるように、小型の分泌顆粒を少量含むだけであり、形態的変化を追究することが困難である。一方鳥類では多くの分泌顆粒を含んでおり、典型的なホルモン分泌細胞としての形態的特徴を示す。ニワトリ隆起部を黄体化ホルモン(LH)抗体とクロモグラニン(Chr)抗体を用いて免疫染色し、全ての分泌細胞が両抗体で強く染色されることを見出した。免疫金法を用いての免疫電顕でLHとChrの局在を調べると、全ての分泌顆粒にLHの反応を示す金粒子が密に沈着した。同様にChrの反応も分泌顆粒上に存在し、特に大きな分泌顆粒の上に多くみられた。両抗血清を用い二重染色を行い、同じ分泌顆粒上にLHとChrが共存することを確かめた。隆起部抽出物をLH抗体を用い免疫ブロットを行うと、前葉と同じくLHαとβ鎖が存在した。またChr抗体でChrバンドが得られた。次に両抗体を用いてニワトリ隆起部の発生を調べると、隆起部原基の形成は前葉のLH細胞の発生よりかなり遅く、胎生8日目に前葉の直上で正中隆起に接して存在する、LHとChr陽性の細胞集団として同定された。その後隆起部原基は正中隆起に沿って伸長し、胎生14日目で視交叉の部位まで到達し、成体と同じく正中隆起を細長く包んで存在するようになった。上記の結果から隆起部はLH様物質を分泌し性腺機能の調節に関与すると考えられるが、性腺除去後、前葉LH細胞とは異なり変化を示さなかった。松果体より分泌されるメラトニンのリセプターは前葉ではなく、隆起部に高濃度に存在することが知られている。松果体を除去すると、1から6ヶ月後に隆起部は細胞層が扁平となり、隆起部細胞に著しく多くの水解小体が出現し、松果体の影響を受けていることが明かとなった。次に、24時間光刺激または22時間恒暗飼育を行い日照リズムの変動に伴う隆起部細胞の変化を調べた。明飼育では大型の分泌顆粒が蓄積し、細胞は不活性な状態を呈した。一方暗飼育では、ミトコンドリアが著しく増加し、小型分泌顆粒が少量存在するだけとなり、細胞は活性な状態を呈した。隆起部細胞はLH分子そのものではなく、LHと類似の抗原性を有する物質を分泌し、季節や日照リズムによる性周期の調節に関与すると考えられる。
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[Publications] Yoko Kameda: "Localization and development of chromogranin A and luteinizing hormone in the specific secretory cells of the hypophyseal---" Histochem,Cell Biol.(in press). (1998)
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[Publications] 亀田芙子: "ニワトリ下垂体隆起部細胞のクロモグラニンおよびLH免疫反応と隆起部の機能について" 解剖学雑誌. 72・4. 340- (1997)
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[Publications] 亀田芙子: "ニワトリの総頸動脈とその枝に分布する内分泌細胞-血圧調節機構に関与か" 日本内分泌学会雑誌. 73・5. 334- (1997)