1997 Fiscal Year Annual Research Report
偶蹄類の葉状骨の形成と骨単位へのリモデリングに関する比較形態学的研究
Project/Area Number |
09670030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森 陵一 昭和大学, 歯学部, 助手 (00138380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 善久 岩手大学, 農学部, 教授 (40003785)
小高 鐡男 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40085767)
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Keywords | 偶蹄類 / 四肢長骨 / 組織学 / 走査電顕・分析電顕 / 骨形成 / 葉状骨 / 骨改造 / ハバース層板骨 |
Research Abstract |
偶蹄類の四肢長骨は、岩手大学・農学部の協力を得て、ウシ(胎齢3・9ヶ月、生後0日、1・2・12年)、ヤギ(生後3・5年)、ブタ(生後0・8日、1・6ヶ月)、ヒツジ(生後0日、1ヶ月、1年)を収集している。 非脱灰切片はリゴラック樹脂に包埋し、軟X線像などで観察、脱灰切片は水溶性テクノビット樹脂に包埋し、1〜2μの切片とし種々の染色を施し観察中である。ウシでは、胎齢3ヶ月齢で3〜4層の葉状骨を観察することができ、生後0日齢で25〜26層に達する。さらに、加齢を伴い、年輪状に外側へ層を添加し、骨の太さの成長を行う。葉状骨の間隙は、血管腔隙を残すのみとなるまで、形成は続くが、骨基質内部に吸収像は認められない。生後1年齢で初めて、葉状骨からなる緻密骨の内部(骨髄側)1/3の骨基質領域に、基質の吸収および新生が行われている部分が散在性に出現し、ハバース層板骨系への移行が始まることが判明した。しかし、生後12年齢のウシでも葉状骨を観察することができ、この構造は終生存在するかもしれない。走査電顕・分析電顕観察では、葉状骨の中心部にbright lineがまず形成され、次にwoven bone、lameller boneがbright lineを上下より挟み込むように添加していき、その傾向は骨髄側に強く現れていた。さらに、bright linに存在する骨細胞とwoven bone、lameller boneに存在する骨細胞は細胞の容積が異なり、両者は基質形成能力に相違があることが示唆された。bright lineはやや大型で顆粒状の有機性成分の集積により形成され、非常に石灰化度が高いことも証明された。 現在、岩手大学・農学部にて若年齢ウシを購入し、ラベリングを施す予定である。この研究により、葉状骨の形成および添加、形成までの時間、さらにその骨代謝をより詳細に、解明できるものと考えている。
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