1997 Fiscal Year Annual Research Report
小腸絨毛形成における毛細血管網の変化とその役割一蛍光標識ゼラチン法を用いた三次元的解析
Project/Area Number |
09670032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 尚詞 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (80189498)
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Keywords | 小腸絨毛 / 毛細血管 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 三次元再構築 / 螢光標識ゼラチン法 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
正常ICR系マウス胎仔小腸近位部を材料として、絨毛の形成過程における毛細血管網並びに細胞外基質の三次元的分布の変化を解析した。なお、膣栓の確認された日を妊娠0日とした。 絨毛形成に関わる変化は妊娠13〜15日目に認められた。この間、横断像の面積は約4倍となり、上皮の割合が20%から40%に増加した。間葉組織は約30%でほとんど変化せず、筋層が減少した。13日目、それまで滑らかであった上皮下基底膜に凹凸が生じ、次第に太い指状の凸部が顕著になったが、断面積や内腔の拡大により、管の中心から見た場合、凸部先端の基底膜の位置は元の滑らかな時の位置とほとんど変化がなかった。血管網は、13日目では間葉組織内に層状の疎な血管叢が見られ、漿膜下よりそこに向かう太い血管が認められた。14日目に、この血管叢は太めの血管の疎な層とその枝の細い血管より成る内側の密な層に分かれた。絨毛の形成につれ、絨毛内に向かうループ状の血管が太い血管層から出るのが観察され、内側の層は消失した。血管ループには斜めバイパス等も認められたが、太い血管層には乱れがなく、横断面における相対的位置も変化なかった。 以上の結果より、絨毛は上皮組織が間葉組織内に陥入する際に取り残された部分より形成されると考えられた。このとき、血管叢は外に向かって押し広げられるが、内側の密な層が絨毛内に取り込まれて血管ループとなり、その脚が伸張して絨毛内の位置を保つと考えられ、絨毛先端部では血管を保定する仕組みの存在が推察された。ラミニン、コラーゲン、テネイシン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、コンドロイチン硫酸等の細胞外基質やIL-1α、ILー6等のサイトカインの免疫組織化学を施し、絨毛先端の血管ループとの関連性を検索すると、テネイシンが血管ループ周囲のみに弱く認められたが、他の物質には顕著な関連性が見られなかった。
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