1997 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインフォスファターゼの細胞内局在とその信号伝達における機能的役割の解析
Project/Area Number |
09670042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高井 章 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50126869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳納 博幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155520)
久場 健司 名古屋大学, 医学部, 教授 (60080561)
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Keywords | プロテインフォスファターゼ / ト-トマイシン / CFTR / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
本研究は、細胞運動や形質膜を介するイオンの透過・輸送の過程に対して、タンパク質の可逆的燐酸化がはたす調節的役割、特に脱燐酸化過程のはたす役割を解明することを目的とするものである。平成9年度に行った実験とその成果は以下の通りである。 1.平滑筋ミオシンフォスファターゼ阻害剤ト-トマイシンの 平滑筋収縮調節に関わる主要なミオシン脱燐酸化酵素であるPP1に対して非常に高い親和性で結合し抑制作用を示す土壌放射菌毒素の一種ト-トマイシンとその誘導体の作用機序を、その酵素のcDNAを大腸菌で大量発現させたものを用いて分子レベルで検討を進めつつある。オカダ酸など、酵素親和性を異にする他のフォスファターゼ阻害剤とト-トマイシンとのいくつかのハイブリッドを用いた実験により、天然標品よりもさらにPP1親和性の高い人工阻害剤を開発できる可能性がでてきた。 2.心筋型CFTR-C1^-チャネルの燐酸化による調節機序の研究 心筋に存在し、細胞体積恒常性維持などに重要な役割を演じている可能性のある非腺細胞性のCFTR-C1^-チャネルが、アントラセン‐9‐カルボン酸により抑制されるフォスファターゼによって調節されていることを強く示唆する知見を得た。このフォスファターゼはMg^<2+>イオンを要求する点ではPP2Cに類似するが、各種クロマトグラフィにおいてそれとは明らかに性質を異にし、おそらく新規の酵素であるものと思われる。現在、ウエスタンブロットにより、一つのスポットとして泳動できるところまで来ており、今後はさらにクローニングの作業を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takai, Y., Awaya,S. & Takai, A.: "Activation of non-selective cation conductance by carbachol in freshly isolated bovine ciliary muscle cells" Pflugers Archiv-European Journal of Physiology. 433(6). 705-712 (1997)
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[Publications] Zhou,S.S., Takai,A. Tominaga,M. & Okada,Y.: "Phosphatase-mediated enhancement of cardiac cAMP-activated Cl^-conductance by a Cl^-channel blocker,anthracene‐9‐carboxylate" Circulation Research. 81. 219-228 (1997)
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[Publications] Takemura,M.., Kitagawa, et al.: "Phosphorylated retinoblastoma protein stimulates DNA polymerase α" Oncogene. 15. 2483-2492 (1997)
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[Publications] 高井 章: "蛋白質脱燐酸化反応:解析の基本手技" 日本血栓止血学会誌. 8(6). 504-516 (1997)