1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 達 京都大学, 医学研究科, 助手 (00263096)
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Keywords | Na^+ / Ca^<2+>交換 / Na^+イオン / Ca^<2+>イオン / パッチクランプ / 心臓 |
Research Abstract |
犬心臓由来のNa^+-Ca^<2+>交換蛋白(NCX1)は937のアミノ酸からなる蛋白質である。疎水性プロットからNCX1は11の膜貫通領域と、第5第6膜貫通領域間の細胞質側に位置するループ(ループf)からなると予測される。ループfのN末端側には塩基性アミノ酸と芳香族アミノ酸が多く集まる領域が存在しXIP領域と呼ばれる(219-238)、XIP領域に相当する合成ペプチドがNa^+-Ca^<2+>交換活性を強力に抑制することからXIP領域はNa^+-Ca^+交換の調節部位であると推測されてきた。我々はXIP領域の部位特異的変異体を作成し、それをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、inside-out giant patch法によるNa^+-Ca^<2+>交換電流解析を行うことによりXIP領域の機能を解析した。Na^+-Ca^<2+>交換活性は細胞膜内外のNa^+とCa^<2+>の電気化学的濃度勾配により決定されるが、電気化学的濃度勾配とは異なる機序で細胞質側Na^+とCa^<2+>はNa^+-Ca^<2+>交換活性を調節する。すなわちNa^+による調節は細胞質側Na^+で誘発される外向きNa^+-Ca^<2+>交換電流の時間依存性減衰(Na^+-依存性婦活性化)として観察され(Na^+の半飽和濃度(Kh)≒8mM)、細胞質側Ca^<2+>による調節は外向きNa^+-Ca^<2+>交換電流の増強として観察される(ピーク電流において、Ca^<2+>に対するKh≒0.2μM))。XIP領域の部位特異的変異体のうち、229番目のリシンを含む変異体はNa^+-依存性不活性化が完全に消失した。223番目のフェニルアラニン、224番目のチロシン、225番目のリシンの変異体ではNa^+依存性不活性化は保存されたが、Ca^<2+>による活性化が著明に抑制さた。以上の結果よりXIP領域はNa^+-Ca^<2+>交換の調節、特にNa^+-依存性不活性化とCa^<2+>による活性化の責任部位であると結論された。
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