1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖質消化吸収関連遺伝子の発現調節因子としての栄養素の役割
Project/Area Number |
09670075
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 助手(学内講師) (70195923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 幸子 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 教授 (10046196)
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Keywords | ラクターゼ / スクラーゼ / 遺伝子発現 / Cdx-2 / 核内因子 / 糖質 |
Research Abstract |
1. 絨毛細胞の分化・成熟化に伴って発現する糖質消化吸収関連遺伝子と転写遺伝子との関連性:成熟ラットの空腸の絨毛細胞を絨毛先端からクリプト部まで分画し、絨毛におけるラクターゼ・フロリジン水解酵素(LPH)とスクラーゼ・イソマルターゼ複合体(SI)のmRNAの分布とCdx-2 mRNAの分布を比較した。LPHとSIの遺伝子発現は絨毛基部に始まるのに対し、Cdx-2 mRNAの発現はクリプト部から見られ、絨毛の細胞にほぼ一様に発現していた。従って、Cdx-2だけでなく、それに加えて他の転写因子が絨毛基部における糖質消化吸収関連遺伝子の発現に関与するものと考えられた。 2. 糖質消化吸収関連遺伝子プロモーターにおける糖質応答領域の検索:成熟ラットに低糖質食を摂取させた後、各種の糖質添加食を胃内に強制投与し、空腸粘膜から核タンパク質を調製した。SI遺伝子TATA box上流のCdx-2結合領域(SIFl)へはCdx-2の二量体と単量体の両方の結合が見られ、果糖の摂取により二量体の結合が増大した。グルコースではこのような現象は見られなかった。核タンパク質をリン酸化処理することにより、Cdx-2二量体の結合量が低下し、脱リン酸化により二量体の結合が促進された。従って、果糖の摂取はCdx-2の脱リン酸化を介してSIの転写を促進している可能性が考えられた。 3. 細胞培養を用いた糖質シグナル因子の検索:ヒト小腸様細胞株Caco-2を用いてラクターゼ活性の発現に及ぼす糖質の影響を観察した。培養液に添加するグルコースの濃度に依存してラクターゼ活性とLPH mRNA量は増大した。果糖の添加によってもラクターゼ活性は増大した。この増大はグリコーゲン蓄積量とよく相関した。 4. Cdx-2のクローニングと大腸菌による大量調整:ラットCdx-2をクローニングし、大腸菌に導入して大量に発現させた。Cdx-2を精製し、ウサギに免疫して抗血清を調製した。ゲルシフト法により、調製したラットCdx-2はラットのSIやLPH遺伝子の5′上流域(CE-LPH1,SIF1)に結合することが明らかになった。
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[Publications] Kishi,Kazuhiro et al.: "Enhancement of sucrase-isomaltase gene expression induced by luminally administered fructose in rat jejunum." Journal of Nutritional Biochemistry. 10. 8-12 (1999)
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[Publications] Kishi,Kazuhiro et al.: "Sucrase-isomaltase and hexose transporter gene expressions are coordinately enhanced by dietary fructose in rat jejunum." The Journal of Nutrition. 129 (in press). (1999)
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[Publications] Goda,Toshinao et al.: "Lactase-phlorizin hydrolase and sucrase-isomaltase genes are expressed differently along the villus-crypt axis of rat jejunum." The Journal of Nutrition. 129 (in press). (1999)
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[Publications] 岸和廣ら: "食事性糖質とスクラーゼ・イソマルターゼ(SI)の転写調節因子との関連" 消化と吸収. 21. 20-23 (1998)
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[Publications] 田中竹美ら: "ラクターゼ・フロリジン水解酵素とスクラーゼ・イソマルターゼ複合体遺伝子のプロモーター領域に結合する共通の核内因子について" 消化と吸収. 21. 24-27 (1998)