1998 Fiscal Year Annual Research Report
走行トレーニングのγ運動ニューロン活動に及ぼす影響についての研究
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09670079
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Research Institution | Chukyo Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 春彦 中京女子大学, 健康科学部・健康スポーツ科学科, 教授 (20080004)
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Keywords | γ運動ニューロン / 身体トレーニング / 可塑性 / ヒラメ筋 / 長指伸筋 / ラット / 静的ガンマ / 動的ガンマ |
Research Abstract |
一般に多数の骨格筋収縮の精密な空間的・時間的制御を必要とする複雑な身体運動パフォーマンスの熟達は、その運動動作パターンを反復する‘トレーニング'により達成されることが経験的に知られているが、このトレーニングによって生じる適応的変化特に神経性要素についての研究は乏しい。本研究は、骨格筋収縮のフィードバック調節系としてはたらくγ運動ニューロン活動が身体運動トレーニングによる適応的変化を受けるか否かを明らかにするため、走行運動トレーニングを行ったラットのγ運動ニューロン活動を調べた。Wistar系雄ラットに、トレッドミルによる、今回は先ずいわゆる持久性トレーニング(走行速度12.5m/分、30分間×2の1日当りの走行を5日間/週)を8週間行ったトレーニング・ラット群のγ運動ニューロン活動の賦活・抑制を、筋伸張による筋紡錘第1種終末からの単一求心性神経線維GIaのインパルス応答により解析し、コントロールラット群のそれと比較した。今回はヒラメ筋Soleusの筋紡錘第1種終末の筋伸張に対する求心性応答を調べるために、ラットのウレタン腹腔内投与による全身麻酔下に、椎弓切除術(L1-S2)を行い、後根末梢端神経束を細分してヒラメ筋伸張に応ずる単一求心性神経線維を選び出し、神経伝導速度(25m/s以上)・単攣縮中および筋伸張の特長的インパルス発射パターンからGIa線維を同定した。筋伸張は、一定の速度(10mm/s)・距離(3mm)・期間(3-5秒間)のramp-and hold-stretchを反復して(30秒毎)加え、一回毎の筋紡錘求心性インパルス応答は、筋伸張終了時点のPeak frequency(P)、0.5秒後のstatic frequency(S)およびこれらの差のDynamic index(DI)を瞬時頻度検出器により計測・記録した。その結果は、トレッドミル走行トレーニングラット群のP、S、DIはいずれも、非走行ラット群のそれらに比べ高い値を示した。かかるP値の増大に伴うDI値の、S値の増大を伴わない増大、dynamic γ運動ニューロンの賦活を示すものと考えられた。これは、今回加えた比較的長期(8週間)の持久制タイプの走行運動トレーニング負荷によってγ運動ニューロン活動に適応的変化が起こることを示しており、更にそれはdynamic γ運動ニューロンの賦活を示唆するものであることが考えられるが、この点については更にヒラメ筋筋紡錘第2種終末の筋伸張による求心性応答の解析が今後の課題として残った。
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[Publications] Kumamoto, J.'Ito, M.'Toyoya, Y.and Sato,H.: "Effect of physical training on the neuromuscular junction in the rat extensor digitorum longus and soleus muscles" Jap.J.of physiol.48(Suppl). S222 (1998)
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[Publications] 伊藤実知子、熊本純子、豊田祐子、佐藤春彦: "ラット走行トレーニングの神経接合部への影響" 日本体育学会第49回大会予稿集. 333 (1998)