1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子情報と細胞内シグナル伝達系の解析による非ふるえ熱産生の調節機構の解明
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09670083
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Research Institution | NAYORO CITY COLLEGE |
Principal Investigator |
八幡 剛浩 市立名寄短期大学, 看護学科, 教授 (60041828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 計 旭川医科大学, 第1生理学講座, 助手 (90271759)
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Keywords | 非ふるえ熱産生 / 褐色脂肪組織 / FOKラット / グルカゴン / プロラクチン / 組織酸素消費量 / プロラクチン受容体発現mRNA / PCR |
Research Abstract |
耐寒性の増強には非ふるえ熱産生(NST)の亢進が重要な役割を果たしている。NSTの主要発現部位は褐色脂肪組織(BAT)で、主な発現因子はノルアドレナリン(NA)であるが、加えて膵ホルモンのグルカゴンもNAに匹敵する発現作用を持つことが示されている。しかし、高いNST能を持つ新生仔期で、グルカゴンの発現作用はNAより早い時期に低下するなどが示されており、生体内でNST発現に果たす意義がNAとは異なっているものと考えられる。本研究ではNSTの調節に果たすグルカゴンの役割と作用の機序を明らかにするための検討をラットで行い、以下の結果を得た。 1)遺伝的に耐暑能が高いFOKラットは耐寒性にも優れているが、このラットのBATについてNA及びグルカゴンによる酸素消費量の増加度をin vitroで比較したところ、グルカゴンによる反応性はNAより高く、より低濃度で最高反応が得られると共にEC_<50>も有意に低かった。 2)上記ラットの急性寒冷曝露時の血漿グルカゴンレベルの増加度は、対照群であるStd : Wistar及びWKAHよりも有意に大であった。 3)Std : WistarについてBATのプロラクチン受容体発現mRNAを調べるためにPCRによるmRNAの増幅を行ったところ、成体♂ラットのBATにも上記mRNAが存在することが示された。また、新生仔期のBATでは成体より多量のmRNAが存在することが明らかとなった。 これらの結果は、BATでのNSTにはグルカゴンが重要な役割を果たしていること、及びプロラクチンがBATに直接作用して、グルカゴンの作用を抑制性に調節していることを示唆している。
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